憤るA氏が筆者に手渡したのが、2013年3月支給分の大阪市職員給与明細書だ。
今月から大阪市役所では、職員の給与明細上部に「懲戒処分…人ごとではありません!」という文言が記載されるようになった。加えて、下部には「懲戒処分を受けると…」という見出しの下に、職員が懲戒処分を受けるとどうなるか、その具体的内容についても書かれるようになった。以下に、給与明細書に記載されているその内容を転載する。
【懲戒処分を受けると…】
「勤務時間中の喫煙やマイカー通勤などの行為により、毎月多くの職員が処分されています。もし停職1月の懲戒処分となれば、この給与明細分の給与が支給されません。また期末勤勉手当(いわゆるボーナス)や昇給、退職手当まで減額され、生涯賃金への影響は数百万円になる場合があります!」
(大阪市職員2013年3月18日支給分給与明細書から抜粋・引用)
大阪市では、それまでの行政政策と職員の姿勢を否定する橋下市長就任以来、何かと市長と職員は対立を続けてきた。だが、日がたつにつれ、職員は政策面、主義思想などは異なるものの、橋下市長の豪腕ぶりを認める空気が強くなっていたという。
「確かに、この給与明細書にあるように、ここ最近、大阪市では、懲戒処分を受ける職員が、過去に例を見ないくらい増えている。もちろん懲戒処分を受けるようなことをする職員が悪い。しかし、やたら処分が重すぎる。弁護士出身なのか、市長は『法令によらない懲戒処分は行わない』との方針だとかで、些細な事案でも、すぐに地方公務員法による懲戒処分を行うことに躍起になっている。こんなの、市長のすることですか? また、そんな市長の強権ぶりに拍手喝さいする市民も、どうかと思いますよ」(大阪市労組に属する大阪市職員B氏)
今、大阪市では、勤務時間中の喫煙は上司に「時間休」を申請し、その上で、庁舎外に出て行わなければならない。もし、無断で「ちょっと一服」すれば、公務員としての職務専念義務を果たしていないとの咎で、地方公務員法上の「戒告」「減給」「停職」「免職」といった懲戒処分が科せられることになっている。
●勤務時間中に喫煙すると即懲戒?
過去、この手の事案では、「厳重注意」「注意」など、地方公務員法によらない処分が科せられることが一般的だった。実際、現在でも大阪市以外の地方自治体では、喫煙目的で無断で職務を離れる行為が目に余る場合は「注意」、よほどひどい場合は「厳重注意」となるケースがほとんどだ。
有権者、納税者である市民感情としては、公務員が懲戒処分され、厳罰に付されることを喜ばしく思う向きもあろう。