しかし、現実問題として、例えば、橋下市長が府知事時代から引き合いに出している民間企業でも、職務に関する急な来客や込み入った話があり、職場外の喫茶店に出て、喫煙しつつ話し込むなどというケースは多々あるだろう。
ところが大阪市では、こうした行為は、許可なく無断で職場を離れたとの理由で、職務専念義務に反したとして、即「戒告、減給何カ月」といった地方公務員法上の懲戒処分を受けることになるという。公務員は懲戒処分が一度でも科せられると、その後の昇進、昇給などに大きく響く。懲戒を受けるほどの「悪事」かといえば、少なからず疑問の残るところではないだろうか。
懲戒処分にかけるか、かけないかの判断は、職員の直属上司に委ねられている。もし折り合いの悪い上司であれば、それこそ「体調が悪くトイレに長居していただけ」でも、懲戒処分を受ける可能性があるのが、今の大阪市の現状だ。
●処分理由があれば、即処分しなければ、上司の監督責任が問われる
懲戒処分事由として、喫煙と並んで多いのがマイカー通勤だ。このマイカー通勤は、電車・バスなどの公共交通機関の利用を嫌がり、時間にルーズな人物が行うものとの印象が強いだろう。だが、必ずしもそうは言えないようだ。
「午前中に時間休を取って病気にかかっている子どもを病院に連れて行き、そのために時間的な余裕がなくなり、やむを得ずマイカーでの通勤を行った。これでも懲戒処分される。上司がマイカー通勤の事実を知り、それを隠せば、今度はさらに上の上司の立場がまずくなる。もう少し、個々人の事情を考えてもらいたい」(前出・C氏)
●橋下市長も職務専念義務違反?
もちろんマイカー通勤、勤務時間中の喫煙は、決して褒められることではない。とはいえ、やたらと懲戒権を振り回し、懲戒処分を乱発することもまた、決して褒められることではない。
「昨年の衆院選で、市長が代表を務める『日本維新の会』が低迷してから、市長の職員に対する風当たりがまたきつくなってきた。八つ当たりも甚だしい。最近、報道された公募区長罷免もそう。そもそも市長は、マスコミで伝えられているように、その行動に何か深い考えがあって行っているものとは職員は誰も思っていません。市長の本質は“狂犬”なんです。就任時は職員、それから市議会、マスコミと噛み付き、先の桜宮高校生自殺事件では、とうとう市民にまで噛み付いた……という感じです。いつも単なる思い付きで動いているだけなのではないですか」(C氏)
最近、橋下市長はTwitter上で「(自らのツイートは)思いついたままのストレス発散」と発言した。これを受けて、ある職員は「これまで、市長の公務時間中のツイートも、あくまでも市長としての情報発信だと思うから、多少の疑問はあっても誰も何も言わなかった。でも、そうではなく『ストレス発散』って、市長自らおっしゃったということは、これは公務ではないですよね。私ら職員は、市長のように公務中Twitterをして、ストレス発散できません。市長こそ、職務専念義務違反で懲戒にかけられるべきでないですか」と怒りをあらわにする。
まだまだ橋下市長と市職員のバトルは続きそうだ。
(文=編集部)