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新日鐵住金、新中期経営計画で対ライバル・韓国ポスコ戦略描けぬ理由…市場の視線冷ややか

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新日鐵住金本社が入居する
丸の内パークビルディング
(「Wikipedia」より)
 新日鐵住金は3月13日、合併後初の中期経営計画(中計、2013-15年度)を発表した。「打倒ポスコ計画」の前評判が高い中計だったが、ふたを開けてみると市場関係者の間に「こんな悠長な計画で、ポスコと本当に戦えるのか」との失望感が広まっている。

 同社の中計は「15年までに世界最高水準の競争力を実現し、熾烈化する競争を勝ち抜き、持続的な利益成長を目指す」のが狙い。そのため、製鉄事業で「技術先進性の発揮、世界最高水準のコスト競争力実現、最適生産体制の確立、グローバル戦略の推進、グループ会社の体質強化」の重点5施策を進めるのが骨子。

 13日の記者発表で、まず記者たちの関心を集めたのが「最適生産体制の確立」を図るための、君津製鉄所(千葉県)の第3高炉休止決定だった。同社が決定を下したのは、次の理由からだとみられている。

 君津製鉄所には高炉が3基あり、その役割は2つある。1つは君津製鉄所で製造する薄板、厚板、線材、鋼管などの母材を、製鉄所内各製品工場へ供給すること。もう1つは、釜石や堺など、高炉を休止した製鉄所内製品工場への母材供給。 

 しかし、合併により他の製鉄所からも母材を十分供給できるようになったので、高炉2基体制にしても、今後は君津で使用する分も、母材が足りなくなる場合は、近隣の鹿島製鉄所(茨城県)から供給することができる。したがって、第3高炉の休止は君津製鉄所の生産能力低下ではなく、逆に生産性向上につながるというもの。

 同社の友野宏社長は、記者発表で「第3高炉の休止は能力削減ではない。高炉3基のうち1基を止め、残り2基で技術革新や生産性向上を進め、低コスト操業を目指す。君津製鉄所は、現状の粗鋼生産量と鉄鋼製品量をほぼ維持できる」と説明している。

 また、3月中に予定していた和歌山製鉄所(和歌山市)の新高炉操業の「当面延期」や、4製鉄所合わせて14ラインの休止と2ラインの操業時間短縮(いずれも冷延、メッキなどの製鋼下流工程)決定も「効率性重視」が理由だと説明している。

 友野社長は、ライン休止や操業時間短縮を「需給調整のためではなく、より筋肉質で強靭な体をつくるための施策」と説明している。

●具体性に欠けるグローバル戦略

 ここまでは、

「中計で高炉休止まで踏み込んだことは、世界で勝ち抜くためのコスト削減に徹底して取り組むとの市場への意思表示」
「JFE-HD発足当初の生産再編よりドラスチック」

などの感想が記者席から聞こえ、会場では友野社長の説明に共鳴する熱い雰囲気が漂っていた。

 だが、説明が注目のグローバル戦略に移ると、会場には白けた空気が流れた。

 中計では、世界鉄鋼需要の伸長に対応し、

・自動車向けなど高級鋼
・資源・エネルギー開発向け鋼管
・鉄道・土木建築土木などのインフラ関連鋼材

を「戦略3分野」と位置付け、「鉄鋼製品ごとに国内外ベストミックスの生産・供給体制を構築する」としている。これに向け、中計期間は国内も含めて「毎年1000億円程度の戦略投資」を行うとしている。

 だが、この説明に対しては「中身がなさ過ぎる」というのが記者たちの反応だった。実際、中計には「アセアン(東南アジア諸国連合)における鉄源(高炉)・ホットコイル供給拠点の構築に向け、検討を推進する」との記載があるだけ。友野社長も「常にチャンスはうかがっているが、具体的にこの中計で決めてあるものはない」と認めている。