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米シティ、日本のホテルを超安値で買う詐欺的手口が訴訟に 加担した弁護士は免許剥奪も

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「アートホテルズ大森 HP」より

●狙われたホテル、相場の倍を提示

 欧米の外資系投資グループが日本の不動産や企業を買う、そのこと自体は問題ではない。問題はそのやり方だ。法的にもグレーな手法で、彼らは日本の資産を不当に安い価格で買い叩いていくケースもある。

 現在、裁判が進行中の外資系金融によるホテル買収事件がある。今夏での結審を控えたこの事件、なんとかかわっているのは日本放送株取得でライブドアの弁護も手掛けた高名な弁護士である。その弁護士が日本企業の内部情報を外資に流し、さらに不当な契約を結ばせたのだという。結審直前の今、味方であるはずの日本人弁護士がいかにして外資系企業に日本の資産を売ったのか、そのカラクリを紹介したい。

 2006年4月、外資系金融資本のシティグループが、傘下企業・エムケーロックを通じて、東京アセット(旧アムス・アセット)が所有するアートホテルズ大森とアートホテルズ浜松町の2棟の信託受益権の購入を打診してきた。当時、羽田空港拡張事業を受けて、羽田空港へのモノレールや京浜急行の起点となる大森・浜松町のホテル需要は増えると見込まれていた。

 シティグループが東京アセットに提示した金額は250億円。売買の対象がホテルであるために、賃貸収入などを受け取る信託受益権が発生する。その権利をシティグループは250億円で買うという。ホテル2棟の不動産評価額は132億700万円であり、シティの提示金額はそのおよそ2倍である。同年4月14日にエムケーロックは買付証明を東京アセットへと差し入れている。さらに10月26日、内金として50億円を支払った。通常の取引であれば、とても誠実でいい条件だと思われるが、この50億円の内金が、実はシティグループが仕掛けた罠だったのだ。

●東京アセットの弁護士がシティグループの弁護士を兼任

 ホテル2棟には賃貸人がいたため、彼らの整理が信託受益権の売買条件となっていた。1年以内に彼らが出て行かないとシティグループとの契約は破棄され、内金の50億円はシティグループへ返還しなければならない。東京アセットとしては返還は非常に厳しく、なんとしてでも売買を成立させたかった。しかし、結局賃貸人との問題が解決しなかったため、契約期限が切れる直前、東京アセットは銀行からの融資を受けて50億円を返還する準備を進めていた。するとシティグループは、なぜか1年間の契約の延長を申し出てきた。これにより、今すぐに50億円を返す必要はなくなり、東京アセットには内金の返済もしくは賃貸人問題の解決までに1年間の猶予ができたことになる。

 銀行から借りてまで50億円を返す必要がなくなったため、東京アセットと銀行との話し合いは中止された。そしてまさにそのタイミングを図ったかのように、07年8月18日になって、シティグループはキャンセルを申し入れてきたのだ。

 契約のキャンセル自体に問題はない。契約に従い、違約金を払い、手付金との差額を返還すればいいだけの話で、個人も法人もそれは同じである。しかし、そのキャンセル直前にかわされた契約が問題だった。東京アセットの顧問弁護士である三井拓秀弁護士は同社に、50億円を貸付金として処理し、ホテルの抵当権をシティグループが持つ契約を結ばせていたのだ。

 つまりシティグループが信託受益権を買うという話が、三井弁護士によって同グループが東京アセットに50億円を貸し、その担保としてホテル2棟に抵当権を設定したという契約内容に変えられてしまったのだ。ただのキャンセルで済むはずだった話が、この契約変更に伴い、ホテルを売って手付金を払うという話に変わってしまったのだ。三井弁護士はまるでキャンセルされるのを事前に知り、ホテルを格安でシティグループに売るために契約を結び直したかのようである。

 手付金の返済期限はわずか2カ月半後。50億円の返還を求めるシティグループに対して、東京アセットは「契約不履行はシティグループのほうだ」と抗弁したが、時すでに遅し。

 この契約変更の説明が東京アセット側に十分に理解されていたとは言い難い。それというのも三井弁護士は東京アセット経営陣に対して、「シティグループを怒らせるとどうなるかわからない」と言って手付金を払えずにいた経営陣を萎縮させ、「怒らせないにはこの契約しかない」とホテルを売却する契約へと変更したからだ。東京アセットにまったくメリットがないにもかかわらずである。