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海上自衛隊、取材者ブラックリスト作成で一部取材対応拒否か…違法の可能性も

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海上自衛隊の艦船
「Wikipedia」より/DP Kilfeather)
 今、自衛隊の広報が注目を集めている。航空自衛隊では、自衛隊の側から作家へ売り込み、『空飛ぶ広報室』(幻冬舎/有川浩)を執筆させ大ヒット。ドラマ化もされ、航空自衛隊の広報に大きく貢献しているという。また、陸上自衛隊も、隊員の横顔紹介や災害派遣などの任務の実情を前面に打ち出すオーソドックスな広報が支持されている。

 他方、海上自衛隊は、かつて「戦隊ヒーロー」を模したテレビCMを放映、テレビメディアから「不謹慎」との理由で批判されるなど、3自衛隊の中で「旧軍の伝統を受け継いでいる」割には、斬新な広報を打ち出し、その賛否・好悪が分かれているところだ。

 とりわけ海上自衛隊公式Twitterで、毎週末に登場する【おとん】【おかん】【まり鯛】といったゆるキャラを模したフリーダムツイートなどはその典型だろう。ネット世論においても「面白い」「よくやった」との声がある一方で、「広報の意味を取り違えている」との批判の声が隊内でも上がっている。そんな海上自衛隊の広報をつかさどっているのが、海上幕僚監部広報室(以下、海幕広報室)だ。

●海幕広報室取材者リスト

 2011年12月、この海幕広報室では「海上自衛隊に好意的、協力的なマスコミ、マスコミ人、ブロガー」と「海上自衛隊に批判的、攻撃的なマスコミ、マスコミ人、ブロガー」についてリスト化されているという話が、現役海上自衛官並びに海自OBからある報道関係者に寄せられた。もしこれが事実であれば、01年に発覚した防衛庁海幕3佐情報リスト事件を髣髴させる大問題だ。

 この事件は、海幕情報公開室に勤務する3佐(当時)が、情報公開請求に来た一般人を勝手にリスト化、内部資料としていたもの。リスト化という行為が「行政機関電算処理個人情報保護法」などに違反するものとして、当該3佐は1カ月の20%減給の懲戒処分を受けている。

●文書化していない口頭での申し送りのリストが存在?

 リスト化の件について、ある報道関係者が行政機関への申立というかたちで防衛監察本部と海上自衛隊に調査を依頼。結果、海上自衛隊当局から「リストについては明確になかった」という回答を得た。だが、ある現役自衛官は、これに異を唱える。

「確かに書面化したり、フラッシュメモリーなどの電子媒体で、明確にわかるようなリスト化はしていないだろう。しかし、口頭で『こいつは好意的』『こいつは批判的』と申し継ぐ、いわば暗黙の『リストとはいえないリスト』は明確にあるはずだ。幹部はもちろん、当の海幕広報室だって、リストがありますかと聞かれれば、ないと回答するのは当然。それに防衛省情報本部や海幕広報室は、2ちゃんねる掲示板のほか、自衛隊に関して書かれているブログやウェブサイトは日常的にチェックしている。恐らくデータ化、すなわちリスト化もしているだろう」

 関係者の話を総合すると、この現役自衛官が言うリストのうち、メディアでは産経新聞、マスコミ人では、元防衛相の森本敏氏をはじめ、軍事アナリストの小川和久氏、評論家の潮匡人氏、最近では、防衛ジャーナリストの桜林美佐氏などが「海上自衛隊側から見て好意的なメディア/人たち」に挙げられているという。彼らの取材は、海幕広報室も「気持ちよく受け入れる」(現役海上自衛隊幹部)ようだ。

 他方、海上自衛隊側から見て批判的・攻撃的なメディアの筆頭は朝日新聞と毎日新聞、Business Journal、マスコミ人では、朝日新聞で「自衛官のつぶやき 取材直後すべて消えた」(朝日新聞デジタル版/本年1月5日)を執筆した佐々木康之記者、本サイトで護衛艦「みねゆき」艦長のSNS不正利用を記事化、艦長を厳重注意処分に追い込んだ、経済ジャーナリストの秋山謙一郎氏(本サイト執筆陣)がその筆頭だという。現役海上自衛隊幹部は、「海幕広報室は、彼らからの取材は今後受けないと幕内(海上幕僚監部)で聞いた。もし取材を受けても、はぐらかして答えるのではないか」と話す。

 事実、本件について海幕広報室への問い合わせを行ったが、対応に出た女性職員が「担当に伝えておきます」と話したものの、指定した日時までに返答が寄せられることはなかった。

●個人情報保護法違反の可能性も