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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(5月第3週)

パナソニック、「クルマと家が好き」社長の趣味がもろ出し!?トホホな経営計画

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パナソニックの未来やいかに。
(「パナソニック HP」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「週刊ダイヤモンド」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

「週刊ダイヤモンド 5/18号」の特集は『総力検証! パナソニック最後の賭け』だ。「1918年に松下幸之助が創立したパナソニック。幾度となく訪れた危機を乗り越え、今やグループ全体で30万人の社員を抱える巨大企業に成長した。だが、100周年を目前にして、ここ2年で1兆5000億円もの巨額赤字を計上し、過去最大の危機に瀕している。そのさなかに就任した津賀一宏社長は、テレビをはじめとする脱家電を推し進め、BtoB事業への大胆なシフトを掲げる。まさしく、パナソニックの“最後の賭け”といえる大改革が始まった」という企業研究特集だ。

 特集『Part1 内部資料が裏付ける“名門”家電事業部の凋落』では、年間売上高7.3兆円(2012年通期見込み)のパナソニック、その中でも、歴代社長を輩出し、保守本流の名門とされる家電事業部・AVCネットワーク社の威信失墜ぶりを明らかにしている。00年代にはデジタル家電の“三種の神器”と呼ばれた薄型テレビ、デジタルカメラ、DVDプレーヤーで全社利益の4割以上を稼ぎ出してきたが、08年のリーマンショックを機に転落。韓国メーカーとのコスト競争に巨額投資の失敗で数千億円規模の特別損失を計上するまでになってしまった。

 12年6月に就任した津賀社長が掲げた新中期経営計画では「各事業部が営業利益率5%を達成できなければ事業売却をも視野に入れる」という事業存続の条件を提示したが、AVCネットワーク社は事業存続の条件をクリアできないことは明らかで、縮小・撤退のシナリオが描かれ始めているという。

 特集『Part 2 乾坤一擲のBtoBシフト 真の実力と勝算』では、パナソニックが大きくカジを切ったBtoB(企業向けビジネス)事業を徹底取材。49ある事業部の中で最大の営業利益(300億円)をたたき出すのが、航空機ビジネス・アビオニクス社だ。主力製品は航空機の座席にあるモニターをはじめとする機内娯楽システム。取引先は国内外の主要航空会社をほぼ制覇する世界275社。導入されている航空機は5000機を超すという。このシステムは各国の航空当局の審査をパスする必要があり、そのノウハウが参入障壁になるのだという。今後はエンジンや制御機器など、航空機そのもののリアルタイム診断ビジネスを狙っているという。

 こうした、パナソニックのロゴはないが、実はパナソニック製という商品は他にもある。任天堂のゲーム機「Wii U」の光ディスクのゲームデータを読み取る装置は、BDプレーヤー「DIGA(ディーガ)」の技術を生かしたもの。毎年50万人が受験する大学入試センター試験も稼ぎどころ。英語のリスニング用の音楽再生プレーヤーを手がけている。故障が少ない高い品質が評価されているという。また、津賀社長が「2018年に売上高を現在の倍の2兆円にする」と成長事業の大本命に位置付ける自動車関連事業も日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」の車載充電システムを手掛けるなど、BtoB事業のOEM(他社ブランドによる製品供給)だ。

 デジタル家電からの脱却、BtoB事業のOEM(他社ブランドによる製品供給)という方向性を明確にしたパナソニックは、組織改革も行う。12年ぶりとなる事業部制の復活と戦略本部を設置したのだ。問題は80年間、本社を構え続けた大阪市・門真市の通称“門真ムラ”内のルールだ。なんと社内メールは宛先30件に一斉送信をするなど、壮大なムダがはびこっているのだ(特集「Part3 30万人を乗せた巨艦改革 鍵は本社・門真にあり」)。

 特集『Part 4 歴史は繰り返す 経営課題とトップの系譜』では、今号は週刊ダイヤモンドにとって創刊100周年目の記念号。5年後にはパナソニックが100周年を迎えることから、ダイヤモンド誌100年間の記事で検証するパナソニックの経営史だ。戦前にも『松下産業団は増産顕著』(1942/9/11号)、戦後には『立ち直りの早い会社』(1946/10/1号)と特集され、高度成長期には『マンモス松下・コングロマリット作戦』(1968/11/11号)、バブル後には『家電大不況の前途』(1992/5/16号)、『家電メーカーの屈辱』(2001/8/25号)と激しい競争にさらされ、『電機全滅!』(2009/2/21号)、『家電敗戦』(2012/6/9号)と現代の苦境まで、時代を彩っていることが分かる。

 手前味噌的な企画かと思いきや、パナソニックの現状に厳しい。文末は「それにしても歴史を振り返って思う。パナソニックが家電メーカーとして輝きを放っていたのは、せいぜい70年代半ばまで。残りの40年近くは、古びた電球をだましだまし使い続けてきただけなのかもしれない」と家電メーカー・パナソニックに決別を告げる。

 5年後の100周年に向けて、自動車産業や住宅産業向けなどの「BtoB事業」の強化が進むパナソニック。巻頭には社長のインタビューも掲載されている(『独白インタビュー テレビを捨てた男の正体』)のだが、そこで気になるやりとりが。

「津賀さんは論理的ですが、少々ドライで、パナソニック製品への愛情があまり伝わってこないと感じるときがある」という記者の質問に、「DIGA(ディーガ)の開発責任者で、ディーガにすっごい思い入れがある」としながらも、個人的な好みは「『クルマ』と『家』が好きなんです」と語る。「それって、今回の中期経営計画そのままじゃないですか!」と記者がツッコむものの、「クルマ」と「家」への思いを熱く語るのだ。

 ひょっとして中期経営計画は企業の強みの分野に特化したのではなく、自分の好きな自動車産業や住宅産業に特化したんじゃないか……と邪推してしまうのだ。

 「100年目のパナソニックは自動車部品メーカーになっているのかもしれない」というフレーズは、当連載において「週刊東洋経済 4/27・5/4合併号」特集『死んでたまるか! 日本の電機』(「パナは売りでソニーは買いに がけっぷち家電3社、1年前の特集と比較で見えた明暗」http://biz-journal.jp/2013/04/post_2013.html)の回のまとめで使ったが、社長の自宅作りに関する喜々としたインタビューを読むと、ひょっとしたらハウスメーカーになっているのかもしれない。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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