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増加する“社員を襲う”ストーカー、巧妙な最新手口と対処法…法的手段は逆効果?

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「Thinkstock」より
 多くの場合、ストーカー行為は行為者にとっては妄想に基づく行為だが、その手口が変化してきたという。法的措置だけで解決できないことは報道される事件などから明らかだが、手口の変化に合わせて、どんな対策が求められるのだろうか? 危機管理コンサルタントで武蔵野学院大学客員教授の平塚俊樹氏は、ストーカー対策で豊富な実績を築いてきた。その経験から、ストーカーの最新手口と対策を語る。

--最近のストーカー行為には、どんな目的によるものが多いのでしょうか?

平塚俊樹氏(以下、平塚) ストーカーの多くは恋愛が目的です。以前は金とか、単なる嫌がらせなどを目的にしたストーカーも多かったのですが、最近は加害者が男性であっても女性であっても、恋愛感情を抱いている対象者に会いたくて、ストーカー行為に走る例が目立ちます。

--警察庁は平成21年3月に出した通達「ストーカー行為等の規制等に関する法律等の解釈及び運用上の留意事項について」で、法規制の対象になる行為に「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」と明記しました。効果は上がっていないのでしょうか?

平塚 この通達が、逆手に取られてしまったのです。恋愛感情さえ表に出さなければ規制に引っかからず、捕まらないと。だからストーカーは、恋愛とはまったく異なるアプローチ法でターゲットに近づこうと試みます。ターゲットの取引先になるとか、客になるとか、ファンになるとか。そして追い詰めていき、面会の口実をつくっていくのです。

--どうやって追い詰めるのでしょうか。恋愛が目的なら逆効果ではないですか?

平塚 ストーカーは、ターゲットに会いたくて仕方がないのです。食事などに誘って断られ続けると、会うためにビジネスの関係を築こうとします。ビジネスの舞台を使えば面会の機会を得やすいのではないかと考えて、取引先や客の立場から、質問攻めにしたり、クレームを入れたりして、なんとか会えないかなと試みるわけです。

--狙われた本人は職場に居づらくなって、限度を超えたら退職せざるを得なくなるのではないでしょうか?

平塚 女性社員の離職率の高い会社では、そうした被害に遭って退職していく例が多いですね。本人は体裁が悪いので、ほかの理由を述べますが。例えば、事務職募集の求人広告に「クレーム対応業務はありません」と書くだけで、応募者数が格段に増える時代です。それだけストーカーに職場を狙われた女性が多いのです。でも、いま申し上げた手口は、ストーカーとしては初級者ですよ。

●ストーカー対象の近所へ引っ越し、家族と接触

--初級者とはいえ、退職するまで追い詰められるのですから大ごとです。中級以上になると、どんな手口を使うのですか?

平塚 女性看護師が、ある社長をストーキングした例をお話ししましょう。その看護師は肉体関係をもった社長に、責任を取ってほしいと迫りましたが、社長は面会を拒否し続けました。すると、看護師は社長宅の近所に引っ越し、近所の住民が自然に出会ったように装って、社長の子供と道路や公園で会話を交わすようになりました。近所の親切なおばさんを装ったのです。そうして、社長と会う機会を探っていました。子供から話を聞いた社長は、生きた心地がしなかったといいます。

--不気味な行為ですが、看護師は違法行為に及んでいませんね。

平塚 そうです。中級者以上になると、なかなか法律は犯しません。それに、万が一逮捕されても、罰金刑なら金を払えば無罪、執行猶予が付けば無罪放免と事実上同じ、何度か逮捕されても保護観察処分というように、逮捕後のシナリオを見通した上でストーカー行為を行っています。この看護師の場合は、その社長が地域社会に貢献している人物なので守ってあげなければいけないと判断した警察が、2年がかりで看護師を他の県に引っ越しさせて解決してくれました。

--しかし、通常は警察に相談しても即座に動いてくれないでしょう。