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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(6月28日)

ソフトバンク、“日本の億万長者”孫社長の“大ボラ”は実現するか!? その手腕に世界が注目

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ソフトバンク本社機能が所在する
東京汐留ビルディング
「Wikipedia」より/Itoshin87)

 米携帯電話会社3位のスプリント・ネクステルが現地時間25日、臨時株主総会でソフトバンクによる買収を承認。7月上旬にも買収手続きが完了する見通しで、孫正義社長が6月の株式総会でぶちあげた「ソフトバンクを世界一の企業にする」という“大ボラ”(本人談)の実現に向けて、一歩を踏み出したことを各メディアが伝えている。

 27日付の日本経済新聞が、いくつかの懸念材料を挙げながらも、この大型買収劇を好意的に受け止めている。

 懸念としては、ソフトバンクを「昼夜問わず宿題を出す孫社長に食らいつく『野武士』集団」、強い労働組合に守られたスプリント社印をおっとりとした「公家」と評価し、その融和をいかに進めるかという課題があると分析。また、ソフトバンクは独特の広告などで急成長したものの、その手法が「米国市場で通じる保障はない」としている。

 一方、社説では「今はスマートフォンの登場で米アップルなど海外メーカーが国内でシェアを高めている。海外市場に再び目を向けなければ、日本の携帯産業の将来はないだろう」と評価。「今回のスプリント買収は、日本のメーカーから見れば、米国に販路を築く大きなチャンスだ」として、日本政府も携帯産業の海外進出を後押しし、「今回の買収を国際市場獲得の突破口としてほしい」と結んだ。

 それでは、海外メディアではどう報じられているのか。ブルームバーグは「富豪の孫氏スプリント戦で勝利」との見出しで、孫氏を「億万長者のソフトバンク創業者」と紹介。大和証券の石橋正浩クレジットアナリストのコメントを引き、2006年に英ボーダフォンから日本法人を買収し「立て直した」という実績を伝えている。

 また26日には、ウォール・ストリート・ジャーナルが「Want Changes at Sprint? Send a Tweet to @masason」(スプリントの変化を望みますか? 孫氏にツイートしてください)という記事を公開。同記事では、孫氏のツイッターのフォロワー数が190万人と、日本でも最もフォロワー数の多いアカウントの1つであり、顧客のツイートに対して「やりましょう」と応じ、その後「できました」と回答することで有名だと紹介している。

 ソフトバンクによれば、2010年以来、孫氏は164件について「やりましょう」とツイートして、うち160件は「できました」と分類されているという。

 匿名を条件に取材に応じたソフトバンク元社員は、孫氏の「やりましょう」のツイートの大半が、いずれにせよソフトバンクが実施していたであろうもので、「賢いマーケティング方法にすぎない」という見方を示しているというが、パフォーマンスであったとしても、「顧客の要望に経営者が直接答える」という手法は注目を集めるかもしれない。同記事では「孫氏がアメリカでもこの習慣を続けるかどうかは不明」としながら、英語でのツイートも多いこと、ビジネスに限らず、趣味や音楽批評のツイートを行っていることなども伝えている。

 27日のサンケイビズは、スプリント社傘下のデータ通信会社で、大手携帯電話事業者並みの周波数を保有するクリアワイヤの完全子会社化が、まだ決定していないことを懸念点として指摘。一方で、クリアワイヤが今後のサービス開始を表明した通信規格「TD-LTE」は、ソフトバンクが日本で提供している規格と同一で、世界で標準化が進む次世代LTEの基盤技術に採用される可能性もあり、子会社化が決まれば、日米で「TD-LTE」を展開するソフトバンクがチャンスをつかみ得るとしている。携帯電話最大手の中国移動通信も同じく「TD-LTE」を採用しており、最大市場への参入も視野に入るというのだ。

 世界のビジネス界で注目度を高めている“日本の億万長者”は、“世界一の経営者”になることができるのか。「我々にはノウハウがある」(27日日経新聞)と、日本ではおなじみのサプライズ感のある料金プランや、ポータルサイト・ゲーム会社など、グループが持つネットサービスとの連携で顧客を獲得することに自信を見せる孫氏。それが現実になるか、“大ボラ”で終わるかーー?

 7月以降、米市場にインパクトを残すことができるかが、その分水嶺になりそうだ。
(文=blueprint)