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柳谷智宣「気になるITトレンドの“裏”を読む」(第7回)

バイト悪ふざけSNS投稿に恐々の飲食店経営者〜重大さわからぬ犯人、対処誤ると炎上…

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アイスケースに入ったローソン従業員がFacebookに投稿した画像(「Youtube」より)
 PCデビューは30年前に発売されたシャープのX1という、筋金入りのデジタル中毒であるITライターの柳谷智宣氏。日々、最新デジタルガジェットやウェブサービスを手当たり次第に使い込んでいる。そんな柳谷氏が、気になる今注目のITトレンドの裏側とこれからを解説する。


 以前から、TwitterFacebook上でふざけた行動を自ら公開し、炎上してしまう若者はいた。しかし、この2カ月間の頻発具合は異常だ。7月に、コンビニチェーン・ローソンの従業員がアイスケースに入った写真をFacebookに投稿。店舗は同社からフランチャイズ契約を解除される大事に。これは大きなニュースになったのだが、連発して似た事件が起きた。同じくコンビニチェーン・ミニストップでは高校生がアイスケースに入り、店は被害届を提出。お弁当チェーン・ほっともっととステーキハウス・ブロンコビリーのアルバイトも冷蔵庫に入り、丸源ラーメン門真店では女性スタッフが冷凍ソーセージをくわえた。バーガーキングではバンズに寝そべり、ピザハットではピザ生地を顔に貼り付けるアルバイト店員も現れた。

 どのケースも本人の氏名や学校、アルバイト先が特定され、炎上。厳しい処分が下されている。前出のブロンコビリー足立梅島店にいたっては、店舗を閉める事態になり、同社はアルバイトに対し、損害賠償の請求を検討しているという。

 このSNS時代、多くの企業は社員に対し、悪事を投稿しないように教育している。そもそも、この2カ月で頻出した問題行為は禁止しているはず。それなのに、次から次へと投稿される。彼らを雇用している企業のダメージは計り知れない。ネット上では「もうこんな店行かない」といった投稿が数多く見受けられ、商品の破棄や清掃だけでは、「はい、元通り」というわけにはいかないのだ。

 では、企業側はどう防御すればいいのだろうか?

 本人たちは顔出し、本名出しで投稿している。そもそも悪いことと思っていないのだ。彼らは炎上してから、「こんな大事になるとは思わなかった」と言う。

 筆者は飲食店を経営しており、20人近くのアルバイトスタッフに手伝ってもらっているが、実は彼らは自分の投稿が全世界に公開されているということがわかっていない。SNSの仕組みはかろうじて理解していても、友だち以外の目にとまる可能性があると実感していないのだ。これは、「SNSの投稿を気をつけてね」というレベルではなんともならない。

 面接時に、SNSの利用を確認し、意識のすりあわせと確認をする。日々の朝礼で店長に注意してもらう。

 ・アルバイトは社員と「友だち」になってもらい、社員が投稿をチェックする
 ・営業時間内はスマホを持ち歩かないようにする
 ・SNSで店舗名を出すことを禁止する
 ・そもそも、SNSの利用を禁止する

といった手がある。しかし、厳しくすればするほど、アルバイトが辞めかねない。誠意を持って繰り返し教育し続けていくしかないだろう。

 炎上したら、企業としてすぐに謝罪。事態を把握したら、状況と対応策を報告し、さらに謝罪する。この謝罪がおざなりだったり、言い訳がましい場合は、炎上が大きくなる。アルバイトのせいにするような文言は入れるべきではない。しかし、炎上に参加している人たちは、アルバイトに対しての処罰感情が強い。厳罰に処すると、企業への攻撃が収まる傾向にある。

 しかし、賠償を検討していると発表したブロンコビリーは、有名人からの攻撃を食らうことになった。ドワンゴ会長の川上量生氏は「悪ガキのおふざけにお灸を据えるのに、彼の人生を台無しにさせることで世間に責任を果たしたつもりのクソ経営者。そして他人の不幸を見て悦に入りながら、社会正義を執行した気分にひたる賛同者」とツイート。このような反論を避けるために、「厳正に対処する」のように発表すればいいだろう。

 アルバイトスタッフを雇用している経営者にとっては、戦々恐々の状態だ。万全を期すことができないし、行為の気軽さとは不釣り合いなほどのダメージを受ける。炎上時には、群がるネットイナゴと良識派の部外者の両方もケアしなければいけない。日々、アルバイトへの誠意を持った教育を行い、万一の際は即応できるような体制を整えておく必要がある。
(文=柳谷智宣/ITライター)