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攻めに出たセガサミー〜大規模カジノ事業展開で高まる、国内カジノ誘致への期待

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「Thinkstock」より
 セガサミーホールディングス(HD)の子会社であるゲームメーカー・セガは、民事再生手続き中のインデックスの主要事業を買収する。セガが設立した全額出資子会社を受け皿として、11月1日付でインデックスの家庭用や業務用のデジタルゲーム事業のほか、コンテンツ関連事業などを譲り受ける。譲渡額は明らかにしていないが、140億円程度とみられる。

 インデックスは6月27日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は245億円。循環取引と呼ばれる手法で売上高を水増ししたとして、証券取引等監視委員会が6月12日、金融商品取引法(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで強制調査に乗り出した直後だった。セガは、「循環取引はインデックス側の問題」として負債は引き継がず、事業だけを譲り受ける。

 セガが事実上の買収に動いたのは、ゲーム事業の不振が続いているためだ。特に家庭用ゲーム事業は、欧米市場を中心にソフト販売が冷え込み、2期連続で営業赤字となっている。

 一方、インデックスのデジタルゲーム事業は『真・女神転生』や『ペルソナ』など人気タイトルを持っている。『女神転生』の最新作は13年1~6月の国内のソフト販売ランキングでトップ10に入った。インデックスの人気ゲームをスマートフォン(スマホ)向けに転用して、セガはゲーム事業の立て直しを図る。

 セガサミーHDは、13年4~9月期の連結業績を下方修正した。売上高は従来予想を370億円下回る1610億円、営業利益は100億円で従来予想を75億円下方修正した。上期中に予定していたパチスロ機の販売がずれ込むためだ。14年3月期の通期見通しは売上高が前期比50%増の4850億円、営業利益は同3.8倍の730億円を据え置いた。パチスロ機「北斗の拳 転生の章」がヒットして、不振のゲーム事業を補うとみているからだ。

●花形ベンチャーの失速

 インデックスを携帯電話向け情報サービス大手に成長させたのは、日商岩井(現・双日)時代に上司と部下の関係だった落合正美会長と落合善美社長(旧姓・小川、07年に正美氏と結婚)である。2人はNTTドコモが1999年に、携帯電話からインターネットにアクセスし、メールなどの送受信ができるiモードのサービスを開始したのに伴い、小川氏がiモードに提供する占いコンテンツ「恋愛の神様」を開発。これが大ヒットし、インデックスが01年3月にジャスダック(現JASDAQ市場)に店頭公開するきっかけをつくった。

 インデックスはライブドアや楽天の陰に隠れて目立たなかったが、国内外での積極的なM&Aで急成長を遂げた。05年9月には老舗映画会社、日活を買収した。株式を店頭登録した年の01年8月期に38億円だった連結売上高は、07年同期に1298億円に急増した。6年で34倍超となり「勝ち組」と見なされた。

 しかし、連結・非連結・関係会社を合わせて100社以上に膨らんだM&Aのツケが回ってきた。資金の返済に窮したインデックスは09年3月、日本振興銀行から出資と融資を得て、借金の返済に充て、この時からインデックスは振興銀行グループに組み込まれた。

 だが、日本振興銀行が10年9月に経営破綻。インデックスは、資金のパイプが切れた。資金繰りをつけるために利用したのが循環取引だった。循環取引とは商品を動かさずに伝票だけが複数の取引先を巡り、最終的に最初の販売先に戻る取引。架空の売上をつくるのに使われる手法で、インデックスの場合、50社以上の取引先が関与していたとされている。ネットバブル時代の花形ベンチャーが、また一つ姿を消すことになった。

●高まるカジノ事業誘致への期待

 傘下にパチスロ機最大手・サミーとゲーム機器大手・セガを持つセガサミーHDが、次の事業の柱に据えたのがカジノ主体の複合リゾート施設の運営である。

 まずはその皮切りとして12年3月、宮崎市の大型リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」を運営するフェニックスリゾートの全株式を取得し、完全子会社にした。ベルーギーの投資会社のRHJインターナショナル(旧リップルウッドHD)が保有する株式を4億円で取得し、負債54億円を肩代わりした。リゾート施設の買収は初めてだった。

 複合型リゾート施設運営のノウハウの習得のため、同年7月には韓国のカジノ運営会社パラダイスグループと、韓国・仁川市でカジノを含む複合型リゾート施設を開発する合弁会社を設立した。この合弁会社への出資額は100億円(セガサミーの出資比率は45%、パラダイスは55%)。16年の竣工を予定し、プロジェクトの総投資額は600億円になる。

 続いて13年1月、韓国釜山でホテル、エンタテインメント、商業施設からなる複合リゾートの建設を発表した。総投資額は300億円。16年に竣工の予定。この2つの案件へのセガサミーHDの投資額は400億円に達する。

 釜山で計画しているのは一般的なリゾート施設だが、仁川はカジノ主体の施設。宮崎県の経済界からは「カジノ経営のノウハウを蓄積して、シーガイアにカジノを誘致してほしい」との期待が高まる。セガサミーHDは、シーガイアにカジノを誘致した暁には、韓国のカジノ運営会社と共同でカジノのオペレーターの座を狙っているとみられている。

 折りも折、里見治・セガサミーHD会長兼社長の娘、有紀恵さんの結婚披露宴が9月16日、東京・虎ノ門のホテルオークラの宴会場「平安の間」で開かれた。安倍晋三首相は新婦側の来賓として出席した。新郎は経済産業省のキャリア官僚だ。「これでシーガイアのカジノは決まり」との見方がカジノ・ゲーミング業界に広がった。それを裏付けるかのように、現在里見会長はカジノ誘致に向けて疾走中である。
(文=編集部)