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足利HD、経営破綻から10年、明日再上場へ〜その舞台裏と、高まる新たな地銀再編気運

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足利HD、経営破綻から10年、明日再上場へ〜その舞台裏と、高まる新たな地銀再編気運の画像1足利銀行本店(「Wikipedia」より/Asanagi)
 足利銀行を傘下に置く足利ホールディングス(HD)は、2003年の経営破綻から10年を経て、明日(12月19日)、東証1部へ再上場を果たす。

 公募による普通株の新規発行は5,500万株で、需要に応じて825万株を上限に追加して売り出す。公開価格は420円。公募・売り出しを合わせて最大248億円を調達する。正式な公開価格や資金調達額は投資家の需要動向などを調べた上で、12月10日に決められた。調達した資金は過去に発行した優先株(計2万株)の取得に当て、取得後にこの優先株は消却する。主幹事は野村證券だ。上場時点の時価総額が1,300億円を超えることから、東証1部への上場となった。

 栃木県宇都宮市に本店のある足利銀行は1895年に創業。03年に経営が破綻して一時国有化された後、08年7月に証券大手・野村ホールディングスの投資子会社を中心とする野村グループが設立した足利HDに譲渡され、野村グループは2,800億円の出資を行っている。再上場は、この出資の出口・回収戦略である。

 当初、3年前の10年の再上場を目指していたが、リーマンショックによる株式市場の低迷で上場を見送った経緯がある。アベノミクスによる株高の追い風を受け、今年7月に再上場を申請していた。

 足利HDの13年9月中間決算の純利益は、08年の設立以来最高の185億円(前年同期比62.5%増)となった。中間決算を足利銀行単体で見ると、本業の儲けを示すコア業務純益は148億円で、27.6%増加した。事業計画では14年3月期通期で264億円のコア業務純益を目指しており、14年3月期に足利HD設立以来、初めての配当を予定している。藤澤智・足利HD社長(足利銀行頭取を兼務)は「計画は達成できる」と自信を見せる。預金残高は5兆46億円と約12年ぶりに5兆円の大台に乗せたが、これは関東圏の地銀で第5位の規模となる。中期経営計画では、16年3月期に貸出金4.1兆円を目指しており(13年9月末実績で3.9兆円)、連結自己資本比率(同8.38%)の向上が課題だ。

 ちなみに野村HDはグループ子会社を通じ、上場後も3分の1超の出資比率を維持する方針だ。

●新自己資本規制が引き金に

 足利HDが年内に上場するのは、来年4月から導入される自己資本規制をクリアするためだ。金融庁は、地銀や信金、信組など国内で活動する地域金融機関を対象に、新しい自己資本規制を14年3月期から10年かけて実施する。自己資本比率の最低基準はこれまでと同じ4%に据え置いたが、自己資本の定義を厳格にした。普通株や内部留保、一般貸倒引当金などを中心とした質の高い資本を新たなコア資本と定義。この比率のみで4%以上確保することを求める。社債型優先株や劣後債、劣後ローンは基本的に中核的な資本から外れる。

 現在、足利HDの中核資本1,572億円のうち半分の750億円を社債型優先株が占めるが、新たな規制ではこれを自己資本にカウントできなくなる。13年9月中間期の連結自己資本比率は従来の国内基準では8.38%だが、新たな基準では4.8%となるため、足利HDは社債型優先株を順次消却し、再上場をテコに普通株式の割合を高める作戦を立てた。優先株の消却で自己資本が減少するため、公募増資で普通株の充実をはかる。その一方で、公募増資で調達した資金で優先株を取得するという一石二鳥の作戦である。10月には株式の流通量を増やすために、普通株1株を100株に分割。発行済み株式を2億7,000万株に増やし、再上場にむけて準備万端整えた。

●高まる地銀再編気運

BusinessJournal編集部

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