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LIXIL、加速するグローバル企業への脱皮~果敢な国内外でのM&A、異業種との提携…

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LIXIL本店(「Wikipedia」より/Rs1421)
 消費増税前の駆け込み需要による住宅着工件数増加という追い風を受け、LIXILグループ(旧・住生活グループ)の業績が好調だ。同社は11月5日、2013年4~9月期の決算発表会見を行い、同期連結決算の最終利益が177億円の黒字(前年同期は103億円の赤字)になると発表。上期としては8年ぶりに過去最高益を更新した。売上高は8.6%増の7415億円、営業利益も88.7%増の259億円と上期で最高だった。

 国内の住宅着工件数は、今年に入り前年水準を上回っている。住宅市場の活況を受けて窓サッシなど住宅用建材の需要が旺盛。金属製建材事業の営業利益は前年同期比2.5倍の139億円を上げ、全社利益の52%を稼いだことになる。トイレなどリフォーム用の水回り品が伸びた水回り設備事業の営業利益は、74億円で同45%の増益だった。海外事業は11年末に完全子会社にしたイタリアの建材大手、ペルマスティリーザが貢献したほか、アジアでも水回り製品を中心に堅調に推移。円安の効果もあった。

 14年3月期は8月に買収した米衛生陶器最大手、アメリカンスタンダードを連結子会社にしたことが寄与し、売上高は1兆6000億円と前期比11.4%増える見通しだ。ただ、同期営業利益は700億円(同38.7%増)と期初見込みを据え置いたが、株式市場では「保守的」との見方が出ており、住宅の駆け込み需要の反動減を想定した慎重な数字と受け取られている。年間配当は前期に比べ10円多い50円(従来予想は40円)とする方針だが、業績次第では上積みする可能性もある。

 また、同社は前出の決算発表会見で、ベースアップ(ベア)について「インフレ率に見合ったベアを実施したい。物価が1%上がれば1%のベアを考えたい」と説明し、業績の拡大分は社員へボーナスで報いる方針を併せて強調した。

●内需依存型からの転換

 LIXILはトステム、INAX、新日軽などが経営統合して11年4月に発足した。グループの母体であるトステムの二代目経営者であった潮田洋一郎会長は、きわめてアグレッシブだ。16年3月期に売上高を3兆円に増やし、400億円程度だった海外売り上げを1兆円に引き上げるとする中期経営計画(11年4月~16年3月)を策定した。少子高齢化が進む国内市場では大きな成長が見込めないため、内需依存型からの転換を急ぐ。

 これを実現させるためLIXILは、11年8月、米ゼネラル・エレクトリック(GE)上級副社長で日本GE会長の藤森義明氏を社長に招聘。グローバルな視点に基づくスピード経営を重視する藤森氏は、積極的にM&Aを繰り広げた。

 まず、就任早々の11年にイタリアの建材大手、ペルマスティリーザを600億円で買収。昨年に入るとM&Aは加速し、8月に米衛生陶器最大手のアメリカンスタンダード(ASB)を531億円で買収して完全子会社化した。ASBの買収により北米のシェアは21%となり、ほぼゼロだった状況から一気にトップに立った。

 9月には日本政策投資銀行(政投銀)と共同で独水栓金具大手、グローエを買収すると発表した。LIXILと政投銀が50%ずつ議決権を持つ特別目的会社(SPC)を設立し、SPCが米投資ファンドなどからグローエの発行済み株式の87.5%を買い取る。買収総額は負債を引き継ぐ分を含めて3816億円。欧米などの独禁当局の許可を得て今年前半に買収を完了する予定だ。グローエは当初はLIXILの持ち分法適用関連会社となるが、3~5年後をめどに政投銀の持ち分を買い取り子会社にする。

 グローエはドイツに本社を置き、浴室やキッチンの水栓金具の欧州最大手。世界の高級ホテルで採用されるなど高いブランド力を持ち、12年度の売上高は約1900億円。LIXILは今回の買収で空白地帯だった欧州市場に足掛かりを得ることになる。