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日産、業績低迷で加速するゴーン社長の孤立~コミットメント経営の弊害、社内外で不満高まる

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日産、業績低迷で加速するゴーン社長の孤立~コミットメント経営の弊害、社内外で不満高まるの画像1日産自動車グローバル本社(「Wikipedia」より/Wiiii)
 日産自動車は11月1日、志賀俊之COO(最高執行責任者)が代表権を持った副会長に退く人事を発表した。この“電撃的解任劇”以降、カルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経営責任者)への不信が、同社内外でかつてなく広まっているという。そんな不安をかき立てているのが、「ゴーン社長の『コミットメント(目標必達)経営』の迷走と強気の弁明、日産向けとルノー向けのダブルスタンダードの使い分け」だと、業界関係者のひとりは指摘する。

 この指摘を裏付けるかのように、12月16日付日本経済新聞は今回の志賀COO退任の舞台裏を次のように報じている。

「ゴーンが業績の(14年3月期通期における業績下方修正の)報告を受けたのは会見(=11月1日)の4日前。その前の週に日本入りしていたにもかかわらずだ。通期業績を引き下げるのは2年連続になる。このままでは自身が掲げてきた『コミットメント経営』が揺らぐ。(略)(ゴーンは)ナンバー2を8年間務めた志賀のCOO退任を決めた」。

 このようにゴーン社長が日産の経営状況について十分に把握し切れていない理由について、日産関係者は「ゴーン社長は世界で最も多忙な経営者。日本にいる時間は平均すると月に5日ぐらい。昔のように社内を見て回る時間はない。経営はいきおいレポートで判断せざるを得ない状況にある」「ゴーン社長の機嫌を損ねる数字は隠したり、報告を先延ばしする風潮が蔓延している」と打ち明ける。ゴーン社長は日産と仏ルノーのトップを兼任し、さらに今年6月にはロシア最大の自動車メーカー、アフトワズ社の会長にも就任しているためだ。
 
 また、12月18日付同紙によれば、11月20日の東京モーターショーでゴーン社長は、北米での業績低迷に関し「米国でトヨタ自動車に負けぬ投資をし、ホンダを上回る製品があるのに追いつけない。何かがおかしい」と会場に詰めかけた報道陣にまくし立てたといい、ゴーン社長のいらだちの原因について、次のように解説している。

「米国市場でトヨタの『カムリ』に対抗すべく日産は新型『アルティマ』を用意していたが、予定通り出荷できないことにあった。その理由は、16年度750万台の世界販売を目指す日産が、平均で6週間に1回、世界中のどこかで新車が発売される過密スケジュールを組んでおり、それに一部の部品メーカーが追いつけていない」。

「アルティマ」は北米市場の戦略車であるが、社内から十分な情報が入ってこないゴーン社長の前のめりな計画が災いして部品調達不足になり、生産開始が計画より遅れ、販売機会ロスを引き起こしている。のみならず、追い打ちをかけるように今年3月にエアバッグの欠陥が発覚、4月から12万台超のリコール(無償修理)に追い込まれた。これで同社は約300億円のリコール費の出費を強いられた。

 日産関係者は「ゴーン社長の鼻息をうかがい、役員たちが世界販売を11年度の480万台から16年度に750万台へと、一挙に56%増もの無理な計画を立てた当初から、現場では誰もが計画は狂うと思っていた」と、アルティマ不振の要因を打ち明けている。

●「コミットメント経営」の弊害

ゴーン社長の掲げる「コミットメント経営」の弊害も、このところ目立っている。

 日産は現在、11年6月に発表した中期経営計画「日産パワー88」で、17年3月期までに世界シェア8%(12年3月期は6.2%)、売上高営業利益率8%(同5.6%)の目標を掲げている。
 
 志賀COO退任を発表した11月1日の記者発表でも、ゴーン社長は「『パワー88』が正しい計画であり、目標達成に向け集中する」と何度も繰り返していた。だが、業界内には「身の丈以上の高い目標を設定し、それを達成するコミットメント経営への執着こそが、業績低迷の根本原因」と指摘する声が多い。

BusinessJournal編集部

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