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「ダイヤモンド」vs.「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(11月第5週)

トヨタ下請けの悲痛な叫び~年間3000億の原価低減と、生産拠点合理化の裏側

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愛知県豊田市のトヨタ自動車本社(「Wikipedia」より/Chris 73)

「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/11月30日号)は『トヨタ大攻勢 豊田章男は何を変えたのか』という特集を組んでいる。「リーマンショック、大規模リコール、東日本大震災、タイ洪水、超円高――。トヨタ自動車は2008年以降、繰り返し地獄を見た。にもかかわらず13年の今、業績は過去最高益の水準まで回復している。『原点回帰』を唱えて09年に就任した豊田章男社長は、トヨタの何を守ったのか。そして、何を変えたのか」という内容だ。

 11月6日、トヨタは14年3月期中間決算を発表し、営業利益は2兆2000億円と過去最高益(08年3月期決算、営業利益は2兆2703億円)に迫る好業績を挙げた。アメリカ市場の好調と輸出企業に有利となる円安の影響が大きいと考えられるが、同日の記者会見で小平信因副社長は、リーマンショック前と同水準まで業績が回復することに対し、「当時(07年9月期)は為替が1ドル=119円だったが、今回は99円。5300億円の減益要因だが、原価低減の努力で補った」と、08年以降の生産性の向上などコスト削減の積み重ねが実を結んだことを強調している。

●トヨタ生産方式による徹底した原価低減

 特集記事『Part1 “喜”過去最高益の秘密』の中で、「円安基調に振れたとはいえ、08年3月期と比べれば1ドルにつき17円の円高であり、為替比較では4000~5000億円分の減益要因になっている。今はそれを吹き飛ばすだけの収益力を持ったということだ」と分析し、設備投資、減価償却費、研究開発費、金融事業等の収益構造を検証している。

 さらに、強いトヨタが戻ってきた大きな要因として、徹底的な原価低減があったと紹介している。原価低減は年間3000億円レベルを継続している。5期分で1兆5000億円規模になる。

 トヨタ生産方式の「カイゼン」は世界的な経営学の基礎用語になっているが、中でもトヨタの原価低減は「大まかに言えば3つの手法がある。1つ目は、毎年2回の定期的な値下げ要請である。トヨタは1次サプライヤー(1次請けの部品会社)に対して、年率約1%ずつ製造原価を下げる要請をしており、約1000億円の原価低減ができている。

2つ目に、あの手この手で車体重量の軽量化を行い、1台当たりの材料費を抑えている。これによって、やはり1000億円規模をコストダウンしている。

 3つ目に、生産性を上げたり、部材を変えたりして、設計変更による原価低減を実施している」とすさまじいまでの徹底ぶりだ。

 また、1次サプライヤー(デンソー、アイシン精機など)に対し、トヨタファースト(トヨタ優先)路線から「トヨタ系列以外の顧客を獲得して独り立ちせよ」という脱純血主義へと転換し始めており、系列サプライヤーがトヨタなしに世界で戦えるだけの低コスト技術と部品を生み出すようになったことも原価低減を加速させることになった。

●合理化による競争力の強化

 特集記事『Part2 “怒”豊田章男の発奮』では、東日本大震災後すぐに、旧セントラル自動車、旧関東自動車工業、旧トヨタ自動車東北の3社を統合し、新会社のトヨタ自動車東日本を発足させたトヨタの狙いに迫っている。東北地域を世界屈指のコスト競争力を持つ、新・輸出拠点にすると目標を定めた。東北新工場は部品の現地調達率80%にこだわり、「国内生産300万台」を達成するための戦略工場と位置付けたのだ。

 トヨタは生産拠点の合理化に乗り出している。東北地域は小型車、九州地域はレクサスブランド、中部地域は中型車・商用車に注力するという“生産3極体制”だ。この動きに合わせて、部品会社は東へ西へ。東北では部品会社の進出ラッシュが相次いでいるという。また昨年3月にはモジュール(部品の集合体)化を加速する新設計構想「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を発表したが、この仕組みが下請けの再編淘汰を促すと見られている(特集記事『Part3 “哀”トヨタに依存する日本経済』)。