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ビジネスマンを惑わす、自己啓発のウソ・ホント 第4回

松下幸之助、稲盛和夫…成功者のエピソードには嘘が多い?成功は偶然、事業計画書は嘘…

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『人生で大切なこと』
(PHP総合研究所/松下幸之助)
 出版不況の最中、堅調な売り上げを続けているのがビジネスマンなどに向けた「自己啓発本」というジャンル。「成功するための秘訣」が収められた本を繰り返し読んでは、いつまでたっても成功しない自分に不甲斐なさを感じている人は少なくないはずだ。変わらない自分のどこに問題があるのか?

 そこで、自己啓発理論を研究しつくしたビジネス・プロデューサーの鈴木領一氏が「自己啓発」「能力開発」の本質をレクチャー。話題の最新刊『100の結果を引き寄せる1%アクション』のエッセンスを交えながら、「自分が求める成果を出すために、本当にやるべきこと」をお伝えする--。

 成功に関する話は、嘘が多い。

 これは、私が300名以上の成功者を取材し、アメリカの「SUCCESS」誌と共同プロジェクトで成功者を研究した経験からハッキリといえます。

 マスコミで伝えられる成功者のサクセスストーリーも脚色されたものが多く、真実の姿を報道するケースは稀です。

 こんなことがありました。自身のサクセスストーリーが大手出版社から出版された著者に会った時のことです。

 この方はベンチャー企業の創業者で、会社は飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びていました。書籍には「望めば叶う」「努力すれば成功する」というテーマで、ご自身のサクセスストーリーが綴られていました。

 私はこの方に非常に興味を持ったので、実際にお会いして、さらに詳しいお話を聞かせていただこうと思ったのです。ここではT氏とします。

 T氏にお会いしてみると、鋭い眼光でまさに勢いのある経営者という雰囲気でした。話は弾み、気がつくと5時間もお話を聞かせていただいていました。夕食の時間になったので、「一緒にお酒飲みませんか?」と誘われて、ディナーをご一緒させていただくことになりました。

 T氏は私に心を許されたのでしょう。「実は鈴木さん……」と、そこで本音を語りはじめたのです。

「鈴木さん、僕はちょっと疲れてるんです。なぜなら、あの本に書いていることはほとんど嘘だから。
 本を出す前から僕は名前が知られるようになり、講演などで“成功の秘密”を話すように望まれるようになって、“ウケる”話をするようになった。人々は美談を求めていて、僕はそれに応えるように、“努力は報われる”“夢を見続ければ叶う”という話をするようになったんだ。
 そんな話をし続けているうちに、自分もそれが事実だと思うようになり、嘘を本当のように話してきたんだ。それがあの本になった。
 鈴木さん、本当のことを言うけど、僕が成功したのは偶然なんだよ。たまたまやっていたことが当たっただけで、自分でも訳がわからないうちにこうなったんだよ。
 単なる偶然です、と言ったら人々は納得しない。だからこれまで読んできた本に書いてある話を適当に組み合わせただけなんだよ」

 私はこの告白を聞いて本当に驚きました。T氏が自信たっぷりに話をしていたため、私も嘘を見抜くことができなかったのです。それと同時に、本当の話をしていただいて嬉しい気持ちにもなりました。T氏は、嘘をつき続けていることに良心の呵責を感じていたのです。私に本音を話すことで、その呪縛から解放されたのでしょう。T氏は穏やかな顔で静かな雰囲気となっていました。

 このような事例を、私は多く見てきています。成功した人で、自分を客観的に分析し、成功の要因を素直に表現できる人は稀です。悲しいかな、人は成功すると自分をより良く見せたいという気持ちになり、事実とは異なる話を美談として語りはじめるものです。

 残念ながらこれが人間の性(さが)であり、洋の東西を問わず、誰でもあることなのです。

●松下幸之助の真実の姿

 私たちの周りには、事実と異なるサクセスストーリーが溢れています。必要以上に神格化させて、聖人君子のように仕立て上げられた成功者も少なくありません。

『100の結果を引き寄せる1%アクション』


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