LIXILの13年3月期の海外売上高は2000億円だったが、ASBとグローエの買収によって5000億円程度にまで一気に増える。
藤森社長は昨年10月、ニューヨークで講演した。欧米でのM&Aを成功させたことによって「グローバル化の基礎ができた」と述べ、東京五輪が開催される20年までに海外の年間売上高を1兆円に引き上げると宣言した。
●国内でも加速するM&A
藤森社長は昨年11月5日、16年3月期に国内事業の売上高を2兆円とする経営目標について「現状のリフォームや新築向け事業の延長戦では達成できない。いずれは買収を考える必要がある」と語り、国内でのM&Aにも強い意欲を示した。
LIXILはこれまでも、矢継ぎ早に資本・業務提携を打ち出してきた。昨年9月に家電量販店2位のエディオンが発行する新株を引き受け、8%を保有する筆頭株主となった。投資額は48億円で、共同でリフォーム事業を推進する。エディオンは主力のテレビ販売が落ち込んでいるため、リフォームを中核事業に育成する。これまで扱ってきたキッチン、バス、トイレに加え、レンジ、洗面化粧台やドア、窓、サッシなどの品揃えを強化する。LIXILは建材や住設機器の販売増につなげる。
また、同じ9月には経営再建中のシャープの第三者割当増資を引き受けて50億円を出資し、建材と電材を融合させた新製品の開発でシャープと業務提携している。
さらに10月、JXホールディングス傘下のJX日鉱日石エネルギーと業務提携した。それぞれの流通経路を利用して、LIXILはJX日鉱日石エネルギーが扱っている新エネ機器などを売り、JXはLIXILが展開するサッシ、水回り商品などリフォーム関連商材の販売を強化する。
だが、これだけでは国内事業2兆円の目標には届かないため、国内でも大型のM&Aに打って出る。LIXILは新築からリフォームまでさまざまな住生活を提案する「住まいと暮らしの総合住生活企業」を目指している。グローバル企業への脱皮に向けた同社の挑戦は、今後さらに加速する。
(文=編集部)