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伊藤忠の「朝残業」は定着するか?多様化する働き方最前線〜交代制、フレックス、在宅…

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伊藤忠商事東京本社(「Wikipedia」より/Kakidai)
 だらだらやる「夜残業」より、気分スッキリの「朝残業」へ。

 伊藤忠商事は10月から深夜残業を禁止し、朝残業制度を試験的に始めた。同社の勤務時間は、午前9時から午後5時15分まで。午後10時には完全消灯し、夜の残業は禁止する。その代わりに、やりきれなかった仕事を朝に回す「朝残業」制度を導入した。

 現在、午後10時から午前5時までの深夜勤務に対して支給している50%の割増賃金を、早朝勤務にも適用する。午前5時から同9時までの時間外手当の割増分を、25%から50%に引き上げる。朝8時までに始業した社員には、伊藤忠グループになったDole社ブランドのバナナやヨーグルトを無料で支給する。対象は、管理職を含めた国内の正社員約2600人。来年3月までの時限的な措置で、残業時間の変化などを検証し、正式に導入するかどうかを決める。

 伊藤忠商事は2012年10月から、「働き方」に対する意識改革に取り組んでいる。一部社員を除きフレックスタイム制度を廃止するなど、残業削減に努めてきた。一定の効果は得られたが、グローバルなネットワークを持ち、24時間業務が続く総合商社の性格上、さらなる残業削減は困難と判断。深夜残業を朝方勤務に切り替えて、業務の効率化を図る。

 朝型残業を提唱したのは岡藤正広社長。社長自身も朝型で、午前7時には出社する。時差出勤の中で早出、定時退社を促す企業は珍しくないが、時間外手当で朝型勤務に誘導する方法は珍しい。

 伊藤忠の「朝残業」は、早い帰宅と引き換えに早朝出勤を促す試みだ。しかし、「朝残業」は根付くのだろうか? 社長だって、朝に強い人ばかりではない。低血圧で午前中はまったく機能しない有名な社長が、かつて活躍したことがある。若手リーダーの中にも夜型の経営者は多い。

●多様化する勤務形態

 勤務形態には日勤、夜勤、交代制、非常勤などがある。所定労働時間(通常1日8時間)以上に及ぶ場合、労働者を交代で勤務させる形態を交代勤務という。製鉄所の高炉や石油化学コンビナート、製紙メーカーの大型梳紙機など、停止や再稼動に手間と時間がかかる大型機械を扱う製造業では、365日24時間の連続運転を行っている。これらの業種では、1日を8時間ごとに分けた3交代勤務だ。

 24時間営業を行う外食産業やコンビニエンスストアは、パート・アルバイトの採用状況によって勤務時間を細かく設定している。百貨店は早番・遅番・通しの3種類の勤務体制が定着している。

 入院患者がいる病院では、医師は宿直勤務。看護師は、日勤・準夜勤・深夜勤務の3交代制が多い。テレビ局は、局アナが男女の別なく局に泊まり込む。地方局は人員が少ないため、宿直勤務をせずに早番・遅番の2交代制だ。

 IT業界が推進しているのが在宅勤務である。オフィスで働くのではなく、自宅で働く。インターネットをはじめとした情報通信機器の普及、充実によって、SE(システムエンジニア)やプログラマーなどの分野で在宅勤務を認める会社が増えてきた。

 近年、クローズアップされてきたのが、長時間労働による労働者の健康問題だ。法定の1日8時間を超える労働時間を基準に勤務体制を組む時は、労使間で合意された労使協定を労働基準監督署に届け出て、その内容を遵守することが求められている。

 決められた労働時間を大きく上回る過酷な労働環境で、健康を害したり自殺者が相次いだ企業がある。こうした会社を指して“ブラック企業”という流行語が生まれた。

 日本には、欧州のようなシエスタ(昼寝)という習慣がない。日本では昼の休憩は1時間前後だが、欧州では2~3時間が一般的。この長い昼休みをシエスタという。シエスタの間に、ランチを楽しんだり昼寝をしたりして過ごす。3時間のシエスタを取ると朝9時からの勤務でも夜8時くらいまで働くことになるが、それが特に問題視されるようなことはないという。
(文=編集部)