■運動は「末端」を意識すると認知症予防になる!
自ら老人たることを知るものは少ない――。これは、フランスの文筆家ラ・ロシュフコーの言葉だ。「まだまだ大丈夫」と思っていても、自分が気付かないうちにやってくるのが「老い」だ。
それとともに、いつの間にか認知症や認知症の予備軍になってしまっている、という人も少なくない。本人が健やかに暮らし続けるため、家族に苦労をかけないためにも、やはり認知症は予防したいところだ。
そんな認知症予防の対策法が書かれている一冊が『死ぬまでボケない 1分間“脳活”法』(帯津 良一、鳴海 周平著、ワニブックス刊)だ。
同著によれば、認知症を予防するために
・からだを動かすこと
・食生活に気をつけること
・心にいつもときめきを持つこと
この3つのことを意識することが大切だという。
3つめの「ときめき」とは、新しい体験や変化、心穏やかな時間などが挙げられる。これらを意識して生活の中に取り入れれば、脳が活性化し、認知症になりにくい「健脳」でいられるという。
この3つは、一見すると当たり前のことのようだが、その「当たり前のこと」を習慣づけるのが、実際にはなかなか難しい。
だが本書で紹介されている「健脳」になるための脳活法はそのどれもが1分で気軽にできる簡単なものばかりなので、習慣づけもしやすい。
本書は「運動」「食生活」「心がけ」の三つの項目に分けられ、全部で27のエクササイズが紹介されている。たとえば、「運動」の項目には、
・「朝、布団の中で手と顔をすり合わせる」
・「ゆっくり8方向を見る」
・「片足立ちをする」
といったものがある。特に、手足や顔といった末端部分の運動は、脳を刺激するという。
「片足立ち」なら、体勢をキープしようとするため、三半規管や中枢神経も刺激するうえ、足の運動にもなる。しかもその効果は片足ずつ1日3回、両足で6分行うだけで、約50分のウォーキングに匹敵する運動負荷だというから驚きだ。
作家の五木寛之氏は、この運動を毎日、歯を磨きながらおこなっているという。このように簡単なエクササイズを生活に取り込めば、習慣づけもしやすくなるだろう。
■ちょっとした工夫で食事も「脳活」になる
「食生活」も少し気をつけるだけで、効果的な脳活になる。
たとえば、大豆のイソフラボンが抗酸化作用を持っており、健康に良いのは広く知られている。その大豆を発酵させた「納豆」をよく食べる人は多いだろう。
そこで、納豆を食べるときには「1分間、納豆を丁寧にかき混ぜてから食べる」ということをやってみるとよい。
ポイントは「丁寧にかき混ぜる」という部分だ。ゆっくり丁寧な動作には、自律神経のバランスを調える効果もあるので、こうして食べれば、身体にも脳にも良いというわけだ。
他にも、食生活での脳活法はたくさんある。
その中でも興味を惹かれたのは「目をつぶって味わう」という脳活法だ。