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ワタミ過労死社員遺族、渡邉元会長公認撤回要請に自民党は“抗議者”扱い「入らないで!」

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渡邉元ワタミ会長公認撤回要請のため、自民党を訪れた森豪さん
「私はワタミで死んだ娘の遺族でございます。自民党に申し入れをしたくて、文書を持ってきました」

 6月28日午後2時55分。ワタミ過労死遺族の森豪さんと妻・祐子さんは、7月に行われる参議院議員選挙に自民党公認候補として立候補する渡邉美樹・ワタミ前会長の公認撤回を要請するため、自民党本部を訪れた。夫妻は2008年6月、ワタミが運営する居酒屋「和民」の新入社員だった娘の美菜さん(当時26歳)を、入社後2カ月わずかで喪っている。

 この日の午後3時に申し入れに行くことは、1週間前に配達証明郵便で通知済み。自民党から返事はなかったが、本部到着の10分ほど前に支援者を通して、本部に入ってもよいとの連絡があったばかりだった。

 だが、正門からわずかに入ったところで、施設の管理責任者を名乗る自民党職員が「会わないから」と森さんらの立入りを阻止。外へ出るよう怒鳴った。

「勝手に入らないでくださいよ! 対応しますよ私が。中ではできませんよ。私が今対応している。ここは私どもの敷地です。自民党の敷地です」

「来ることは伝わっていた」とも話すこの職員は、自民党情報調査局の局員だった。

 門前払いされた森さんはやむなく、自民党本部前の公道で、選挙とは無関係なこの職員と対面。報道陣に囲まれる中で、丁寧に、静かに懇願した。

「(文書を)渡すという申し込みもいたしました。ですから、受け取っていただきたい。それが第一目標です。ですからぜひ」

 選対本部の人に取り次いでほしい、そのために中に通してほしいという、たったそれだけのことだ。

「私たち、5年間苦しんできたんです。とにかく苦しんできたんです」

 同職員は「それはよくわかります」と回答。「毎日毎日苦しんで来たんですよ」と続いた訴えに、再び「それは私も……」と言いかけた。そのとき、ふだんもの静かな森さんが、泣きながら職員のスーツの襟を掴んで声を上げた。

「それがわからないんですかあなたは。わかってないんだよ! ほんとに。だったらなんでワタミを候補にするんだ。毎日毎日泣いているんだよ俺たちは。馬鹿やろうが、馬鹿やろうが、わかるだろ人間なら。つないでくれよ、頼むから」

●ワタミの会社方針「365日24時間死ぬまで働け」

 森さんは、渡邉前会長の公認取り消しを求めるのは「遺族の義務」という。「実際に娘を殺した会社をつくった人物が国会に入れば、多くの若者がさらに苦しむ結果につながる」との危機感からだ。

 自民党本部への要請に先立ち厚生労働省で記者会見した森さんは、次のように述べている。

「(渡邊氏がワタミで会社の方針として掲げる)『365日24時間死ぬまで働け』ということは確信犯なんです。未必の故意なんです。殺意をもって娘を労働させたと言っていいと思う。理念集ではっきりと会社の方針だと言ってるわけですから」

 理念集というのは、渡邉前会長の言葉を聖書風の体裁にまとめたワタミの「教典」。その一節のタイトルが、「365日24時間死ぬまで働け」だ。

 実際に、美菜さんは入社2カ月で過労自殺。健康を損ねる新入社員が出ることを見越しているかのように、店長は新入社員に対して週に一度カウンセリングをしていたこともわかっている。

 このほか、労働実態が入社前の説明とまったく違うことや、制服代や渡邉前会長の著書購入費などが一方的に天引きされていたとも、森さんは主張する。昨年には、残業協定書の締結にあたって、労働者代表の選出方法に労働基準法違反があったことも報道された。

 だから、自民党国会議員各位に宛てた要請書で、森さんは次のように書く。