2011年、都知事選に出馬し、100万票を獲得するも落選という結果に終わってしまったワタミ株式会社・渡邉美樹会長。あれから2年……、今回は同じ失敗はしないという決意の現れか、今回は自民党の公認を得て参院選への出馬を表明している。
そんな渡邊氏の講演会「経営力で強い日本を取り戻す」が6月25日、大手町・日経ホールで開催。これに参加した男性から、この講演会の様子を聞いた。
「地球上で一番たくさんの“ ありがとう” を集める」の社是にかけてか、いきものががりの『ありがとう』が流れる場内。会場にはおよそ600人が詰めかけ、渡邊氏の話に熱心に耳を傾ける。「経営力で日本を取り戻す。」をスローガンに「TPP賛成」や「規制緩和」「法人税を半額に」などの持論を展開。特に、JAビルのすぐお隣というロケーションを意識してか、「農協はなくなったほうがいい」と渡邊氏の舌鋒も鋭い。
最近では、週刊文春を筆頭に「24時間365日働け」「営業12時間の内にメシを食える店長は二流だ」という哲学や、介護事業で事故を起こしてしまった被害者遺族に対しての「1億欲しいのか」というコメントなどが報道され、ブラック企業の経営者としてバッシングを受けている渡邊氏。この向かい風を意識しつつも「国政に出ると週刊誌からも叩かれる。都知事選の時はこんなに叩かれなかったのに」とリップサービスで会場を沸かせた。
さらに、バッシング騒動について「どうしようもないな、というのが正直なところ。間違ったことを書かれたとしても、事実でなければみんな必ずわかる」と、一連の報道が“間違ったこと”という見解を強調。「有り体な言葉ですけど『正義は勝つ』と思っています。心は揺れていません」と強気の姿勢をアピールしたという。
また、自民党の石破茂幹事長から「なぜ自民党なんですか?」と質問された渡邊氏。都知事選ではみんなの党から擁立という話が取り沙汰された。「規制緩和」という政治信条に照らしあわせれば、みんなの党や日本維新の会といった政党も選択肢に含まれるはず。「実際に、維新からもお話がありました」と出馬要請を受けたことを明らかにする渡邊氏。しかし「今回の選挙では自民党が勝たなきゃならない。安定した政権の中で国民を正しい方向に導かなければならないんです」と熱弁を振るった。
この討論会の中で行われたパネルディスカッションの司会を務めた実業家の早川周作氏は、「圧倒的な票数で当選していただき、党内での発言力を高めてほしい」とアピール。陣営としては、すでに当選の“先”を見据えているようだ。だが、最近では、公職選挙法違反の可能性も指摘されており、まだまだ油断は許されない(共産地方議員「ワタミの手紙」に公選法違反可能性指摘 http://yukan-news.ameba.jp/20130623-296/)。はたして、自民党議員として国政に進出することができるのか? それとも、新たなブラック報道によって、再び落選の憂き目に遭うのか……。
参院選の投票日まで、あと1カ月を切った。
(編集部)