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テニス肘で苦しむビジネスパーソン、なぜ急増?突然の激痛、確実な治療困難…回避法とは?

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「Thinkstock」より
 突然に右肘に走る痛み。ぶつけた覚えもなければ、無理な動かし方をした覚えもない。数週間たっても痛みが引かないため、診察を受けたところ、病名は「テニス肘」。テニスラケットなど握ったこともないという熟年ビジネスパーソンを中心に、そんな奇怪な症状が増え続けている。

●テニス肘とは?

 テニスなどラケットを使ったスポーツをする人によく発生する、肘付近の筋肉の炎症による痛みを「上腕骨外側上顆炎」または「上腕骨内側上顆炎」、俗称「テニス肘」と呼ぶ。

 体全体の使い方が適正でなく、力まかせにラケットを振ってボールを打っていると、手の関節やその近辺の筋肉に大きな負担がかかる。これが続くことによって、筋肉や腱の変性や骨膜の炎症などが発生し、痛みが消えなくなってしまう症状だ。

 安静にしていれば特に痛みはないものの、物をつかんで持ち上げたり、タオルを絞ったりすると、肘のあたりから前腕にかけて激痛が走ってしまう。

 ビジネスパーソンといえども、パソコンや資料がぎっしりのアタッシェケースを持つ、書類や備品を運ぶ、会議室にプレゼングッズを搬入する、といった“力仕事”はつきもの。家に帰れば子供の抱っこやゴミ出し、重い鍋を使った調理といった作業も待ち受けている。

 病院や整骨院で相談しても、通常、返ってくる答えは

・安静にしていること

・湿布を張ること

・サポーターなどを使用して肘に負担をかけないこと

くらいで、即効性のある治療方法はなかなかアドバイスしてもらえない。

 ひどい時はステロイド剤を注射することもあるが、効く人と効かない人の違いが顕著なので、特効薬と呼ぶこともできないようだ。マッサージや電気治療が有効ともいわれているが、症状や診断する医師によって意見が分かれるので、こちらも確実な治療法とはいえそうにない。

 決定的な治療法がわからないまま痛みが長期間続く、いつ治るかわからない、慢性化してしまうかもしれない、というストレスは大きな心の負担にもなってしまうのだ。

●運動していないのに、なぜテニス肘に?

 テニス肘の原因は、手首にかかる不自然な力が原因。

 かつてテニス肘はタイピストや調理師など、手首を酷使する職業の人にも見られる病気だったが、パソコンが普及してからは普通のビジネスパーソンにも増えてきているようだ。パソコンを長期間使い続けた結果、手首に負担が蓄積して発症、というケースが近年、かなり多くなっているようなのだ。むしろ「腱鞘炎」と言われたほうがピンとくるかもしれない。

 ビジネスパーソンのテニス肘の増加の割合や原因に正確な数字はないものの、専門家に聞いてみると、

「ビジネスパーソンがテニス肘で通ってくるケースは、ここのところぐんと増えています」(整体師)

「『テニス肘です』と病名を言うと『え? テニスなんかやっていません』と驚くビジネスパーソンは、ここ10年で倍以上になったような気がしますね」(整形外科医)

と、明らかに増えている様子。

 マウスを動かす、キーボードを打つ、という動作は、それだけで見ると、さほど腱や筋肉を酷使する運動には思えない。しかし、それを毎日何時間も続けていると、10年、20年と時間がたつうちに疲労が蓄積し、腱や筋肉に炎症を起こし、「テニスなんかしていないのにテニス肘」となる。ひどい時には骨にまで影響を与える悲劇につながってしまうのだ。