ひと昔前のように友人と呼べる相手ならば住所や電話番号を知っていて当たり前、という時代ではなくなった今、そういう相手に贈り物をしようと思った時に便利に使えるのがソーシャルギフトサービスだ。各種SNSのアカウントやメールアドレスさえわかれば相手にギフトを贈ることができる。
●SNSアカウントだけでプレゼント送付
5年ほど前から、相手のメールアドレスだけわかれば荷物を送付できる宅配便サービスなどはあった。しかしソーシャルギフトは、ショッピングサイト上にあるものを購入して、受取人にSNSのアカウントを指定するタイプで、使い方が少々違う。
実際に贈れるものは多彩だ。雑貨や花、食料品といった従来から贈答品として利用されているものから、サービスチケットなどもある。
贈答用に使いやすいのは、大丸松坂屋の「贈 okurune」や「gifre」だろう。特に「gifre」は、贈り物リストを作成して複数人で情報共有が可能で、寄せ書きメッセージを添付できるなど、グループでプレゼントをするには最適なサービスが充実しており、扱っている商品の価格帯も幅広い。結婚祝いや出産祝い、新築祝いといった人生の節目に合わせて使いやすい。
一方、日常の小さな感謝を伝えるのに最適な少額ギフトのサービスも数多くある。例えば「giftee」は、500円以下のプチギフトやデジタルギフトなども扱っている。
そのほか、身近な企業でもソーシャルギフトを展開するところも出てきている。スターバックスコーヒーは、店頭で500円の金券として利用できるドリンクチケットをメッセージとともに送付する「Starbucks e-Gift」のサービスを行っており、大手コンビニエンスストアチェーンのセブン-イレブンは、店頭でキリンビールのプレミアムビール「GRAND KIRIN」を受け取れる「BEER to friends」というサービスを行っている。
本格的な贈り物だけでなく、ちょっとしたあいさつ代わりやサプライズにも利用しやすいサービスなのだが、日本ではまだそれほど普及していないようだ。
●短期間で利用者増の気配?
ニュースサイト「インターネットコム」が1月に1090人を対象に行ったアンケートでは、ソーシャルギフトサービスを「よく知っている」と回答した人はわずか5.4%だった。「聞いたことはあるが、詳しくは知らない」が30.3%、「知らない」が64.3%。要するに、3人に2人がまったく知らないという結果である。また、知っている人だけを対象にした「実際に使ったことがあるか」という問いについては、8.7%しか利用経験がなかった。1090人中、34人しか利用者がいないのだ。
日本通信販売協会(JADMA)が3月に1000名を対象に実施したアンケートでは、頻繁に利用する人から一応利用したことがあるという人までを合計して、利用経験者は13.5%となっている。