ウェブ、IT業界に精通し、数多くのビジネスの立ち上げを知るリボルバー代表取締役CEOでシリアルアントレプレナーの小川浩氏。先見の明を持つと各界から注目される小川氏がIT、ベンチャー、そしてビジネスの新しい時代を独自の切り口で解説する。
メッセンジャーアプリ・LINEの快進撃が続いているが、その陰で画像共有アプリ・Instagramやショートビデオ共有アプリ・Vineなどの新興サービス群が、若年層を中心に勢力を伸ばしている。ともに先行する巨大ネット企業のグループ傘下にあるというのもおもしろい(InstagramはFacebookに10億ドルで、Vineに至っては創業直後に3000万ドルでTwitterに買収されている)。
特にInstagramは、<インスタ>と省略された呼び方が浸透しており、読者モデルや若手タレントなど、ファッショントレンドに敏感な女性ユーザーを多く集めることに成功している。トップレベルだと、10万人以上のフォロワーを持っており、4~5年前あたりのTwitterのユーザー獲得時期に似た状況にあるが、おしゃれで華やかな画像の共有がメインという点で、男性より女性、年齢層も低めに根を張っている。
米国でSNS系の女性人気ナンバーワンといえる写真共有アプリ・Pinterestは、日本国内ではほとんど広まっておらず、女性どころかネットオタク的なアーリーアダプター層の支持さえ取り込めていないのが現状だ。それに比べると、インスタの出足は非常に順調であるといえるだろう。
日本では自画撮り、もしくは自撮りといわれるように、若い女の子たちは自分自身の写真、もしくは友達と一緒に写真を撮ることが大好きであり、それをブログなどで公開することにためらいがない。これはプリクラの影響が大きいと思うが、その習慣が今はインスタに移っているといえるだろう。
海外においても、この自撮りはセルフィ(Selfie)と呼ばれ、芸能人や政治家といったセレブ層までが夢中になる一大ブームになっている。こうしたことも日本の女の子たちの自撮りブームとインスタのブレイクに拍車をかけている。
インスタは、TwitterやFacebook同様にハッシュタグ【編註:単語の前に#をつけて発言すると、その単語を検索できるシステム】を認識する。日本のユーザーもTwitterから派生したタグの文化を習慣的に使えるようになっており、インスタにおいてもスムーズにタグを使いこなす。さまざまなイベントに応じて巧みなタグをつくっては投稿し、仲間内で楽しく画像をシェアするし、ファッションリーダーであるお洒落なモデルやタレントの自撮りを追いかけ、自分たちも彼女たちの影響を色濃く受けた思い思いの“かわいい”自撮りをアップする。
●Facebookはおじさんの世界?
この結果、2010年に市民権を得たはずのFacebookには、10代や20代の若者がほとんどいない、という状況がみられるようになった。特に学生は少ない。