このランキングは世界各国の年金制度を比較したもので、日本の年金制度は20カ国中17位と、メキシコや中国よりも下である。ちなみに12年度版だと韓国よりも下だ。マーサージャパン・年金コンサルティング部門代表の北野信太郎氏は、次のように説明する。
「ランク付けの基となる年金指数自体が、日本の抱える問題すべてを表しているわけではありません。ランキングはあくまで収入(入ってくるお金)について指数化したもので、支出については考慮されていません。例えば、社会保障としての医療について日本は手厚いので、老後はお金がかからないかたちになっています」
年金指数は「十分性」「持続性」「健全性」の3つのポイントで算出される。十分性はもらえる年金額は十分かどうか、持続性は人口推移や平均寿命のバランスはよいか、健全性は年金制度に運営報告の義務はあるか、という物差しだ。
年金関連のニュースや新聞の記事を見て、
「今の年金の額で老後は生活できるのか?」(十分性)
「自分が老後を迎えた時に、年金は約束どおりの額が支払われるのか?」(持続性)
「そもそも年金制度って、ちゃんと運営されているのか?」(健全性)
と思ったことはあるだろう。まさにこれらの疑問を中心に、世界の年金制度を評価しているのが、年金指数なのである。
例えば、年金支給額が高すぎると持続的な制度とはいえず、逆に年金支給額が低すぎると持続可能ではあるが老後の十分な所得としての役割を果たせない。望ましい年金制度は、給付水準と平均寿命や労働人口のバランスが取られ、かつ透明性の高い年金制度ということになる。
十分性を判断する指標のひとつは、所得代替率だ。この指標とは、現役世代の年収と比べて年金支給額はどのくらいかというのを示すもので、日本の国民年金の場合は、普通に暮らしていけるだけの十分な年金はもらえない。国家破たんしたギリシャの所得代替率が95%以上であったのは有名だ。ちなみに、OECDの平均は54.4%であるのに対し、日本はわずか35.6%と突出して低い(2013年OECD調べ/ともに平均所得者の数字)
さらに日本の国民年金の持続性は、前出のランキングで20カ国中最下位目前だ。日本の年金制度は、年金支給額が十分じゃないうえに、持続性もままならないという、とんでもない代物なのである。