日用品大手のユニ・チャームはこのほど、出産予定の女性内定者に対して最長で30歳まで内定資格を保有できる制度を、2015年度新卒採用よりスタートさせると決定。また生命保険大手の第一生命保険は、4月1日付で62人の女性社員を管理職に登用する人事を発表した。
世界の有名企業を見渡せば、米ヤフーのマリッサ・メイヤーCEO(最高経営責任者)、米ゼネラル・モーターズのメアリー・バーラCEO、米IBMのバージニア・ロメッティCEOなど、女性が経営トップの例は珍しくない。男性中心だった日本企業もここへきて、遅ればせながら女性の採用・活用を積極化させているというわけだ。
そうした中で、企業の人事担当者の間で、「禁断の書」(自動車部品系メーカー人事部社員)と呼ばれる資料が話題になっている。
内閣府男女共同参画局が開示を始めた「女性の活躍『見える化』サイト」なるものがそれだ。従業員に占める女性比率、役員に占める女性比率、女性新卒入社者の定着状況、女性従業員の勤続年数、育児休業復職率など、「企業にとっての秘中の秘が業界ごとに公開されているため、どこが女性に優しい企業か一目でわかってしまう」(運輸系企業人事社員)。そのため、このサイトを見た女子学生が、女性活用に積極的な企業へと志望先を変更して一気に流れてしまうのではないかと、各社の人事部に衝撃が走っているというのだ。
●男子学生も「女性に優しい企業」志向?
加えて、「男子学生がこうした企業に流出する事態も懸念している」(大手メディア社員)ともいうが、どういうことか。
この2月に日本経済新聞グループが発表した「就職希望企業調査」によると、男子学生の就職観において、「自分の生活と仕事を両立させたい」と答えた学生が全体の56%。「出世したい」「グローバルに活躍したい」「キャリアのためには転職も積極的に考えたい」という回答を大きく上回った。
あくせく働いて出世を目指すのではなく、適度に働いて適度な給料をもらって、アフターファイブは自分の時間を楽しみたい。そうした男子学生においては、「あわよくば結婚相手も就職先で見つけたい」(都内私立大学3年生)という社内結婚志向が高まっており、彼らが「女性が多い職場=社内結婚のチャンスが広がる職場」を求めて志望先選びを行うという傾向が強まっているのだ。すでに一部の男子学生の間では、女性社員の比率が5割を超える企業を「女充企業」、8割以上が女性という企業を「入れ食い企業」などと名付ける動きも出てきたという。
実際に同サイトを見てみると、従業員に占める女性比率が高い企業には、前出の日経調査における男子学生の人気上位企業が多くみられる。