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もう出版社は「終わった」のか?出版不況の根本理由から、クールジャパン戦略を探る

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福田淳氏(左)と赤田祐一氏(右)
 経済産業省は、「クールジャパン」(アニメやゲーム、ファッションなどの日本文化)の世界市場を拡大し、2020年の海外売上高を最大17兆円と、10年の約4倍に増やす目標を掲げ、300億円を投資してクールジャパン機構を設立するなど、政府主導でプロジェクトを推進している。

 今回は、『磯野家の謎』(東京サザエさん学会/彩図社)、『バトル・ロワイアル』(高見広春/太田出版)などを手がけた編集者・赤田祐一氏と、スマートフォン向けコンテンツを提供するソニー・デジタルエンタテインメント社長・福田淳氏の2人に、クールジャパン戦略の一環として、不況にあえぐ日本の出版業界とウェブメディアの低迷打開策について語ってもらった。

福田淳氏(以下、福田) 赤田さんは長く編集者をされていますが、本の企画をするときは、何か世相みたいなものを考えられますか?

赤田祐一氏(以下、赤田) 流行しているから、とかはあまり考えないです。流行しているものは、もちろん目にしますから、チェックぐらいは日常的にしていますが、ヒットを狙うと大体失敗します。

福田 でも、常にオリジナルでヒットを飛ばすのは難しいですよね。最近は特に、ウェブと出版の間に歴然とある差は縮まらないものだと日々実感します。例えば、インタビューを受けた時、編集や構成、まとめ方にウェブと出版では格段に差があると感じます。ウェブを商売にしている私が言うのも気が引けますが、ウェブ媒体では、文章を構成したり編集したりする人はいないのだろうか、と思うことがあります。ウェブで垣根が低くなって素人が参加できるようになった分、粗製乱造になっているように思います。

赤田 良くも悪くも、それはありますね。

福田 ちなみに、赤田さんはウェブにはあまりご関心はないのでしょうか?

赤田 毎日使っているものですから、ないとは言い切れません。

福田 例えば、ウェブで何かを表現したりライフスタイルを提案する特集を企画したり、ウェブマガジンを発行するつもりはないですか?

赤田 頭がやっぱり紙ベースですからね。それに、エンジニアリングとかはできないので、得意なことをやったほうがいいと思っています。

●ウェブメディアには編集者がいない?

福田 絶対的にウェブの世界は編集、構成機能が欠けていると思っているので、ぜひ、赤田さんのようなベテランの方に参入してほしいと思います。今、電子書籍のコミックで弊社が業界ナンバーワンである理由を考えると、答えは編集や構成ができる出版あがりのスタッフがいることだと思います。ウェブしか知らない人は、どうやったら読みやすいかを考えたり、スマートフォンに最適化したページづくりをしようとしていないです。このあたりに電子書籍があまり伸びない要因があるのではないかと私は考えています。

赤田 なるほど。