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過熱する成城石井争奪戦の舞台裏 相乗効果狙う流通大手が三つ巴、相次ぐ転売の歴史

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成城石井の店舗(「Wikipedia」より/MASA)
 豊富な高価格帯商品の品ぞろえが特徴の食品スーパー、成城石井(原昭彦社長)の買収に、ローソンと三越伊勢丹ホールディングスが意欲を見せている。

 成城石井は2011年、レックス・ホールディングス(現レインズインターナショナル)から三菱商事系のファンド、丸の内キャピタルに400億円(推定)で事業譲渡された。丸の内キャピタルが入札参加の意向調査を行ったところ、2社が名乗りを上げたため、正式な入札を今後実施して、年内にも売却先を決める見通し。売却額は500億円程度になる模様であり、流通関係者によるとイオンも関心を示しているという。

 ローソンは生鮮食品の品揃えを充実した大型コンビニ店、ローソンマートを14年度中に100店出店する計画であり、成城石井との相乗効果を狙っている。一方、三越伊勢丹は食品などを扱う小型店舗の展開を進めており、こちらも“成城石井効果”を計算している。

 成城石井は関東、関西、中部に110店舗を展開しており、最近では駅ナカにも出店。今後も新規出店を続ける。高品質な輸入食材やワイン、独自に開発した総菜などに特徴があり、一時期の「高級食品スーパー」というイメージは店舗増でやや薄れたが、成城石井を支持する富裕層の消費者は多い。

●相次ぐ転売の歴史

 成城石井の“初代身売り先”であるレックス・ホールディングスは、株式店頭公開によって手に入れた資金で02年2月、シーフードレストラン「レッドロブスター」を展開するレッドロブスタージャパンをイオンから6億円で買収。さらに04年8月にはコンビニチェーン、エーエム・ピーエム・ジャパンを買収し、同年10月、成城石井を買収した。成城石井はもともと小田急線成城学園前駅(東京)の駅前にあった果物店だったが、1976年にスーパーに業態を転換。海外のワインや食材など輸入食料品を扱う高級スーパーとして人気を博し、レックス・ホールディングスが創業者一族の持ち株を65億円で買い取り、完全子会社にした。

 成城石井はレックス・ホールディングスの傘下に入ってからは、高級スーパーの看板を下ろし、一般の食品スーパーに近くなった。従来の富裕層の多いエリアからターミナル駅の駅ビルに出店している。その後、レックス・ホールディングスはエーエム・ピーエム、成城石井を次々と売却して、流通業から撤退。創業事業の焼肉チェーン「牛角」に回帰した。

 成城石井には流通部門を強化していた伊藤忠商事や丸紅が関心を示していたが、結局、丸の内キャピタルが買い取り、今回の入札で転売することになった。

 丸の内キャピタルの成城石井株取得価格は推定400億円程度であり、今回、500億円程度で売り出すとみられているが、入札がローソン、三越伊勢丹、イオンの三つ巴になると、譲渡価格は500億円を超えるかもしれない。

「他業種企業による相次ぐ転売で、利ザヤ獲得というマネーゲームの道具にされてきた」(流通業界関係者)成城石井だが、今後は同業企業傘下でどのような経営路線をとるのか、それを左右する譲渡先企業は年内にも決まる。三者三様に成城石井との相乗効果を描く入札企業3社による成城石井争奪戦は、これから激しさを増していく。
(文=編集部)