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小川浩のNew Vision(7月2日)

“衰退業界”雑誌社の人が、ネット業界から求められてる?本格化するメディアの構造変化

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「Thinkstock」より
ウェブ、IT業界に精通し、数多くのビジネスの立ち上げを知るリボルバー代表取締役CEOでシリアルアントレプレナーの小川浩氏。先見の明を持つと各界から注目される小川氏がIT、ベンチャー、そしてビジネスの新しい時代を独自の切り口で解説する。

「雑誌社のみなさん、インターネット業界への転職のチャンスです」

 現代のウェブは、テキスト重視でアイキャッチとしての画像をできるだけ軽いファイルとして添える、という状況から大きく変わり、できるだけ高精細度で美しい画像、もしくは短めの動画(アニメGIFも同様)を中心に記事を構成するという構造に変わってきている。ヴィジュアルウェブの時代といっていい。

 この構造は、実に雑誌に似ている。

 雑誌は、黎明期を思えば、まずはテキストだけ、そして徐々に添え物としてイラストが入ってきた(美人画で知られる竹久夢二など、イラストレーターの台頭期でもあった)。その後、徐々にイラストは写真に取って代わられ、さらにテキストの分量と写真の分量のバランスが逆転されて今に至っている。思うに、商業誌としての雑誌の形は、現在をもって完成されているといえるのではないだろうか。プリントされた雑誌は、人間のカラダのサイズが巨大化したり小型化しない限り、今の大きさであまり変化はないだろうし、レイアウトなども相当に洗練されたといえる。

 雑誌が売れなくなったのは、それ以外のメディアや、モバイルゲーム、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、メッセージングツールなどに若者が時間とお金をより多く消費して、雑誌に使わなくなったせいで、雑誌自体のメディアとしての構造はこれ以上なにをやってもあまり変わらない。

 逆にネットメディアの世界でいえば、ブロードバンドが完全に浸透し、モバイルであっても高速通信でネットを楽しめるようになったおかげで、本格的な動的メディアの時代になってきていて、冒頭に述べたようなヴィジュアル先行のメディアへの進化が始まっている。

 さらに情報を消費するデバイスがPCからモバイルに代わったお陰で、

・細切れの時間での消費=尺が長いと敬遠される
・横長(ランドスケープ)から縦長(ポートレート)
・文字は大きめ、画像も大きめ

という本質的なメディアの構造変化が起きた。

 この状況の中で、従来のデスクトップPC向けウェブサイトに慣れたデザイナーやクリエイターのノウハウはほとんど意味を成さなくなり、新しいノウハウが必要になっているのが現代なのだ。

 そしてよく考えると、雑誌は長い時間の中で、縦長(ポートレート)で画像を中心にして、それでも十分な長さのテキストを読ませるという技術を磨き抜いてきた。この編集能力こそが、出版業界の最大の資産であり、この資産こそがいまウェブやアプリの世界でも求められていることを知ってほしい。