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あべのハルカス、百貨店に早くも黄色信号?苦戦で社長更迭、「ただの通過点」の懸念も

文=編集部
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 天王寺・阿倍野地区の1日の乗降客数は77万人で梅田地区の220万人の3分の1、難波・心斎橋地区の110万人にも大きく水をあけられている。大阪ではここ数年、百貨店がひしめき合う梅田地区で三越伊勢丹やグランフロントが開業し、商業施設の一極集中が加速している。開業効果が薄れれば、阿倍野はこれまでのように「通過点になってしまう」(百貨店業界関係者)との指摘もある。

●第2の志摩スペイン村との懸念も

 近鉄は神社・仏閣を抱える奈良と伊勢へのアクセス向上を目的に設立された企業で、「観光鉄道」の名残は今もある。近鉄の14年3月期の連結決算は純利益が前期比23%増の245億円と過去最高を更新した。伊勢神宮の20年に1度の式年遷宮の効果で、観光特急「しまかぜ」の予約が取れないほどの人気となり、22年ぶりに旅客人員が前年度実績を上回ったことが収益を押し上げた。

 その近鉄が運営する志摩スペイン村は、総合保養施設整備法(通称・リゾート法)の施行に合わせて策定された三重サンベルトゾーン構想に基づき、大阪難波、大阪阿倍野橋を起点とする電車の終点にあたる志摩に、複合リゾート施設として1994年4月に建設された。テーマパーク、ホテル、温泉で構成される。開業にあたり志摩線の複線化、志摩磯部駅および鵜方駅の改良、新型特急「伊勢志摩ライナー」などに合計480億円を近鉄は投じており、志摩スペイン村の初期投資と合わせて1280億円を投下した。

 開業1年目には426万人の入園があったが、その後は減少の一途をたどり赤字経営が続いた。そのため近鉄は06年、志摩スペイン村の資産を買い上げて減損処理を行い、旧会社と新会社に分離する支援策を実施。新たに設立された運営会社の志摩スペイン村が、近鉄グループのレジャー事業を担当する近鉄レジャーサービスから営業を全面委託される形態に移行している。これにより志摩スペイン村の業績が近鉄本体の決算に直接、影響しないかたちになった。

 志摩スペイン村は、近鉄には喉に刺さった骨のようなものだ。期せずして、スペイン村への投資額と、あべのハルカスへのそれがほぼ同額なこともあり、市場関係者の間では「あべのハルカスは第2の志摩スペイン村になる」との懸念も広がっている。
(文=編集部)

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