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農協改革提言、どう評価すべき?農業強化を妨げるトライアングル構造を、どう壊すのか

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JAビル(「Wikipedia」より/Jo)
 政府の規制改革会議は6月、安倍政権の成長戦略の一環として、JAによる全国の農協の指導体制を廃止するなどの農協改革を打ち出した。これをどのように評価したらいいだろうか。

 東京・千代田区大手町の一角に、地上37階建ての超高層、JAビルがある。その中には、JA全中(全国農業協同組合中央会)、JA全農(全国農業協同組合連合会)、JA全厚連(全国厚生農業協同組合連合会)など農協系団体の多くが本部を置いている。農業とは無縁の都心のど真ん中に、農業団体が集まっているのは奇妙な光景だ。西隣の日本経済新聞東京本社(日経ビル/地上155メートル)、東隣の経団連会館(同122メートル)に挟まれて建つJAビルは同180メートルと高く、これらの3ビルは2009年4月に同時竣工した。農業が成長産業であればこの高さの順番はわからなくないが、果たしてそうなることができるのか、農業は今まさにその岐路に立たされている。

 農業問題を語る時に避けて通れないものとして、農協がある。いうまでもなく農協は、農家を支援する目的で全国各地にある。農協が本来の目的である弱小農家のための相互扶助組織として機能しているのであれば、問題はない。しかし、現実には、農家の大部分は兼業農家となってやせ細り、その一方で農協は隆々としてきた。それは、農協が農家、とりわけ兼業農家に対し、農産品流通、農業資材の販売、金融・保険を事実上独占・寡占してきたからだ。もっとも、兼業農家が自ら大きな付加価値を生み出せないので、農協の収益の真の源泉は、兼業農業に対する補助金である。

 このため、農協は大きな政治力をもち、農産品とりわけコメの価格維持のための補助金獲得に血まなこになってきた。その結果、農業トライアングル構造といわれる、自民党農林族・農協・農水省が形成されてきた。ここでの農協は、兼業農家の代理にもなっている。

 この3者の関係は、じゃんけんに似ている。自民党農林族は農水省に強く、農協は自民党農林族に強く、農水省は農協に強い。こうした三すくみの関係になるとトライアングル構造は強固になり、なかなか崩せない。しかも、自民党農林族は農協に票、農協は農水省に補助金、農水省は自民党農水族に後ろ盾を期待し、それぞれが既得権になって、トライアングル構造はさらに強固になる。

 その結果、農業を強くするためには、零細な兼業農家ではなく、大規模な専業農家を軸足とすべきだが、そのための解は、トライアングル構造からは決して導かれない。

 こうしたトライアングル構造における既得権を第三者が指摘するのは簡単であり、これまでも指摘されてきた。この意味で、安倍政権で規制改革会議が提言した農協改革の内容は、真新しいものではない。しかし、本当の問題は、この改革をどのように実行するかである。特に政治家の役割が重要だ。

●試される、農水大臣の本気度

 農業のトライアングル構造で、自民党農林族を郵政族、農協を郵政、農水省を旧郵政省と置き直してみれば、郵政問題と似た構造であることがわかる。小泉純一郎元首相は、衆議院を解散してまで、腹心の竹中平蔵氏を郵政担当大臣に置き、郵政のトライアングル構造を壊し、民営化という新しいシステムを構築した。