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すき家、驚愕の超社員管理体制 細かいすべての動きを秒単位で規定、間違うと叱責

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ゼンショーが運営する「すき家」の店舗(「Wikipedia」より/Corpse Reviver)
 8月6日、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)は、2015年3月期の連結最終損益が、従来予想の41億円の黒字から13億円の赤字になる見通しだと発表した。売上高予想も従来の5379億円から5250億円に、営業利益予想も同159億円から80億円にそれぞれ下方修正した。その要因は、以前より問題視されてきたすき家の深夜の1人勤務「ワンオペ」廃止により、一部店舗が深夜営業を休止したり、店員を確保できず一時閉店に追いやられる店舗が発生していることによる。

「『昼夜を問わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が経営幹部になる』というビジネスモデルが、その限界に達し、壁にぶつかったものということができる」

 7月、すき家の労働環境改善に関する第三者委員会(委員長・久保利英明弁護士)はこのように指摘し、調査報告書でビジネスモデルの抜本的改革を迫った「ワンオペ」の早期解消や経営陣の意識改革を強く求めた。

 報告書によれば、ゼンショーは2012年度以降、時間外労働などで64通にも上る是正勧告書を労働基準監督署から受け取っているという。さらに恒常的に月500時間以上働いていた社員や、2週間帰宅できなかった社員がいたことなども明らかになった。第三者委は「すき家の運営は法令違反であることはもとより社員の生命、身体、精神に危険を及ぼす重大な状況に陥っていた」と認定。「過剰労働問題等に対する“麻痺”が社内で蔓延し、『業界・社内の常識』が『社会の非常識』であることについての認識が全く欠如していた」と経営陣の認識不足を厳しく指摘した。

 全国に約2000店あるすき家は、店員1人が接客から調理、後片づけ、会計などすべての仕事をこなす「ワンオペ」と呼ばれる深夜勤務体制を取っている。「ワンオペ」への不満がくすぶるなかで、2月にはライバルの吉野家が大ヒットを飛ばした鍋メニューに倣い「牛すき鍋定食」を導入した。牛丼をサービスするより数段に手間がかかるため、アルバイト店員が次々と辞めていった。

 その結果、ゼンショーの労働環境に対する批判が強まり、アルバイト店員を補充できなくなり、今年4月には最大で123店舗が店を開けられない状態となった。このため小川賢太郎会長兼社長は4月28日、第三者委員会を設置し、改善策の提示を求めた。報告書の提出を受け記者会見した小川氏は、深夜に1人勤務になっている状態を解消する方針を打ち出した。

 1982年の創業から30年以上たったゼンショーは今、ビジネスモデルの大きな転換に迫られ、まさに岐路を迎えているといえるが、社会的に問題視されるほどの労働環境は、どのように生まれたのだろうか。

●徹底した社員管理体制

 ゼンショーは82年、現社長の小川氏により資本金500万円で設立された。小川氏は「全戦全勝する」との覚悟を込めて、社名をゼンショーとしたが、創業当時、世評では牛丼チェーンはピークを過ぎた業態と思われていた。だが、日本の牛丼は米国のハンバーガーになるとの信念を持っていた小川氏は、「牛丼ビシネスは、これから伸びる」と、別の見通しを立てていた。