NEW

被災地復興、なぜ延々と進まないのか?発想なき自治体、他優先の政府、歪曲するメディア

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

真山仁氏(撮影=森清)
 テレビドラマ化や映画化もされたベストセラー小説『ハゲタカ』(講談社文庫)シリーズの著者・真山仁が3月に上梓した『そして、星の輝く夜がくる』(講談社)が息長く根強い売れ行きを続けている。真山氏といえば『グリード』『レッドゾーン』(ともに講談社)をはじめとする経済小説家として知られるが、『そして~』は2011年の東日本大震災の被災地にある小学校を舞台とし、子どもや教師、大人たちの葛藤を軸として「震災後」のさまざまな問題に光を当てるという、真山氏としては異色の作品になっている。

 今回はそんな真山氏に、

「震災から3年たった被災地、そして住民の置かれた現状」
「被災地から見た復興をめぐる政策の問題点、復興が遅れる背景」
「震災・復興を正しく報じないメディアの罪」

などについて聞いた。

――真山さんは、世間的には経済小説作家というイメージが強いと思いますが、なぜ今回、東日本大震災をテーマとする小説を書かれたのでしょうか?

『そして、星の輝く夜がくる』(真山仁/講談社)
真山仁(以下、真山) 私は1995年に阪神・淡路大震災が発生した時、震源から10キロメートルの場所に住んでいたのですが、家の中で被害は植木鉢1個のみでした。その時は「助かってよかった」と思ったのですが、神戸の被災状況が徐々にわかってきて、壊滅的な被害を受けた地域もあり、震源から30~40キロメートル離れた地域で亡くなった方も大勢いると知りました。

 それとともに、「どうして私が生き残ったのか。生き残った人と亡くなった人の差はなんだったのか」と考え、後ろめたさみたいな思いを抱えるようになりました。当時私は小説家になるために新聞社を辞めてフリーライターをしていたのですが、これは神様が小説家になれと言っているのだと結論付けました。

 この後ろめたさをいずれ必ず小説にしようと思いつつデビューしたわけですが、出版社に「震災体験を書きたい」と話しても、興味を示すところはなかったですね。そうすると次のミッションは、書きたいことを自由に書ける作家になることと、震災の小説で他人を説得できるようなテーマを持つしかないと思ったわけです。毎年、阪神・淡路大震災が起こった1月17日が来ると「また今年も」と思っていたのですが、書かないうちに東日本大震災が来てしまいました。当時、『コラプティオ』という政治と原発輸出がテーマの連載小説の最終回を書いていました。地震後の原発事故を受けて、単行本化するにあたって原稿用紙500枚くらいのたいへんな加筆修正をしました。その時、巡り合わせみたいなものを再び感じました。

――現在、セールス的な理由で東日本大震災をテーマにしたものは出版化しにくいといわれていますが、本書はすんなり企画が通ったのですか?

真山 今回は誰も止めなかったですね。実際に体験している者だからこそ書けるし、極端なことをいうと、体験者は同じ体験者を叱ることもできるという妙な文化も日本にはあります。ですから、自分だけにしか書けないものを書くのが、長い間書けなかった自分に対する答えでもあります。