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被災地復興、なぜ延々と進まないのか?発想なき自治体、他優先の政府、歪曲するメディア

構成=横山渉/ジャーナリスト
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●物語をつくり、バイアスのかかる報道

――物語の中では、震災報道やメディアのあり方も問われています。

真山 青臭いことをいえば、報道の役割は本来、目の前で起きたことをバイアスをかけずに伝えることだと思います。でも、震災直後に現地に入れば山のような遺体を目にしているはずなのに、報道からはそんな匂いがしてきません。それは自粛ですよ。この国から「死の風景」が消えてしまったことが背景にあります。祖父母が家で死ぬことはなくなったし、せいぜいペットくらいです。「死は不浄なもの」という発想が生まれ、隠すものとなった。死者2万人という数字だけ報道されても、細かいところは伝わらない。

 それから、最近のメディアはすぐに物語をつくってしまう。感情に訴えかけると、後ろめたさが消えるからです。これは、メディアが逃げているのです。多数の記者を広範囲に派遣していても、被災地の状況にそれほど差はないから似たようなネタが出てきます。それが現実なのに、東京で原稿を読んでいる担当者からすれば「なんでこんなに同じようなネタばかり送ってくるんだ」となる。もっと不幸な話を、もっとハッピーな話を書こうとすれば、どんどんバイアスがかかってくる。

 ニュースのバリューは今、どれだけ多くの人がFacebookで「いいね!」をクリックしたのかということで測られるようになってしまったが、それだけがニュースの物差しではないはずです。だから、私はメディアだけが悪いとは思いません。ただ、メディアを含めて多くの日本人が現実を直視する勇気をなくしたのかなとは思います。

――東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故で被災地の方々は甚大な被害を被りましたが、その原発により発電された電力を使用するのは東京など首都圏の住民です。被災地の人々は、このような被災地以外の人々に対し、どのような感情を抱いているのでしょうか?

真山 原発がある地域は、これまで国から落ちてくるお金でかなり潤ってきたので、明確に「原発はおかしい」と昔から思っていた人は少ないでしょう。ただ、原発事故が実際に起きてしまっても、誰もそんなことは言わない。避難を余儀なくされたり、禁漁になったりして、テレビカメラの前ではみんな怒るけど、実際に話を聞けば「いい目見させてもらったからね」と言う人はたくさんいます。

 復興レベルを定点観測するために、私は定期的に同じところを取材に行き、夜は地元の人が行くような居酒屋に食事しに行きます。黙って話を聞いていると、「どこから来たの」なんて声をかけられる。「神戸です」と言うと、「神戸も大変だったんじゃないの」などと本音を語ってくれます。「被災地についてもっと書いてほしい」と言われることは多くても、その逆はほとんどありません。「東京の人は自分たちを踏みつけにして」という怒りを感じたこともありません。

 ただ、東日本大震災は復興がかなり遅いですね。阪神・淡路大震災では阪神高速道路は1年で復活しましたし、寸断されていた在来線もすべてつながりました。その違いは何かといえば、生活力なんです。日本では地方はどこも、中央のお金を使う立場なので、東北でも震災後早くから「風化させるな」「見捨てないでほしい」といった論調が見えました。ですから、彼らが自分たちの足で立ち上がるような支援の仕方を考えないといけないのではと思います。

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