東京都内で記者会見した呼びかけ人の一人、大治浩之輔・元盛岡放送局長は「籾井会長の就任で、公共放送が危機的な状況になっていることを経営委はどう受け止めるのか。OBの責務として行った」と述べた。
あるNHK職員によると、「現役職員、OB、関連団体社員、スタッフも含め、内部で働いている大多数は、籾井会長に早く辞めてほしいと思っている」という。その理由としては、籾井会長就任後の数々の問題発言により、世間のNHKへの風当たりが強まっていることが最も大きいという。
また、受信料の値上げや、テレビを所有していなくてもパソコンやテレビ放送を受信できる携帯電話などのインターネット環境があれば受信料を徴収するとの方針を打ち出したことも、世間のNHKへの批判が高まる要因となっている。
この方針について籾井会長は、財政難を理由に「私の時代には受信料の値下げはないだろう」と明言した。
●NHKの金満ぶり
そんな中、4月に出版された『NHKはなぜ金持ちなのか?』(小田切誠/双葉社)が、「NHKが財政難なんていうのは真っ赤な嘘だ。NHKという放送局は、実はとんでもないお金持ちなのである」と、NHKの金満ぶりを暴露し、批判の声はさらに高まった。
2012年の受信料収入は6387億円で、事業支出は6408億円。民放に比べて桁違いの金が動いていることがわかる。例えば、制作費も高額で大河ドラマ1本(44分)で6000万円と破格だ。
また、4000億円以上の金融資産まで保有し、東京・渋谷にある放送センターの立て替え(予定)につぎ込まれる予算は3400億円という。もちろん、これら予算の多くは国民から徴収した受信料が原資である。
実は、NHKの収入は受信料だけではない。一般には知られていないが、NHKが過去に放送したニュースや番組を民放各局に提供したり、海外に販売することで莫大な利益を得ている。表向きは、関連団体が窓口となっているが、資料の2次使用や、キャラクターグッズなどの販売によって、NHKに還元される金は内部に留保されているという。
組織としてのお金だけではなく、NHK職員たちの高給ぶりにも注目が集まっている。平均給与は2012年度で1185万円、さらに住宅や転勤、保険など手厚い手当が付き、それらを含めると平均年収は1780万円まで跳ね上がるという。
民間企業では労使折半の保険料も、NHKでは事業者負担が62%と低く、職員の自己負担が少ないなど、かなり優遇されていることがわかる。
また前出の職員は、「NHK職員は、定年後の収入も安定している。本人が望めば、関連会社に再雇用され、年齢制限なく働くことができる。実際に、70歳になっても週に数回働きに来ているOBがいる」といい、民間企業では考えられないほどずさんなお金の使い方を明かす。