「取材費やロケ費、会議費との名目をつければ、経費は事実上使い放題。むしろ、取材に出かけた時に、あまり経費を使わないと『次回から予算が削られる』という理由で、無理やりお金を使っている」
別の職員も、NHK全体の体質としてずさんな金銭感覚を指摘する。
「ほかにも、タクシーチケットが各部署に配られているが、職場の飲み会の後などは、みんなチケットを使ってタクシーで帰る。以前はチケットを使い放題で、毎日使っている人もいた。でも今は、一応上司にタクシーを使うことを報告するようになったので、利用は減っている。経理部にいた人に聞いたところでは、上司への報告を義務付けただけで、年間のタクシー利用料が10億円ぐらい減ったらしい」
●高待遇の経営委員
職員だけではなく、NHK経営委員会委員も羽振りの良いNHKの恩恵を受けている。経営委員会は放送法により、その設置および権限、組織、任免、報酬が規定されており、NHKの経営方針や業務の運営に関する重要な事項を決定する役割を担う。
定例会議を原則月2回開催し、執行部から提案された経営の重要事項について協議し、議決を行うほか、NHK会長の任免と、副会長や理事の任免の同意を行う。委員は12人で構成され、内閣総理大臣が任命する。
任期は3年あり、報酬は、委員長は年間約3192万円(非常勤の場合は約633万円)、委員は約2256万円(非常勤は約506万円)。使用が認められている役員交際費は年間上限2500万円(12人合計)で、会食費、土産代、慶弔費などに使用される。
さらに、経営委員会の議決によって選任される会長の報酬は月額211万円で、各期末報酬が330万円。期末報酬は業績評価の結果によって増減があり、平均すると年俸3200万円ほどだ。
これほど高待遇では、NHK会長は簡単には降りたくないだろう。
(文=平沼健/ジャーナリスト)