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直販保険業界、なぜ岐路に?市場伸び悩みと競争激化で赤字慢性化、淘汰進む可能性も

文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト
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●慢性的な赤字体質

 ただ、こうした動きは例外だ。契約獲得に苦戦する会社や後発組は、依然としてビジネスモデルを修正せずに、収益性を無視したシェアの拡大に躍起だ。東京海上ホールディングスの直販損保であるイーデザイン損保や、損保ジャパン日本興亜の関連会社セゾン自動車火災保険、そんぽ24など大手傘下損保も例外ではない。業界に詳しい専門誌記者は「慢性的な赤字体質から抜け出せないにもかかわらず、契約の拡大を旗印に突き進んでいる。累損が膨らむだけでは」と語る。

 競合他社幹部も「大手傘下のため、体力切れになることはないが、いまの事業の延長線上には何も見いだせない。大手のメンツがあるために、やめたくてもやめられない状況に追い込まれかねない」と厳しい。

 自動車保険市場は少子高齢化で今後の伸びは期待できない。そうした中、低価格を武器に直販市場を取り込もうとした各社だが、消費者の直販シフトは想定外に進まず、利益を確保できない状況が続く。収益性の悪化から値上げに動く企業もあるほか、大手のバックがない外資の中には、市場撤退が噂される会社も出てきた。直販損保市場に、地殻変動の波が近づいている。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)

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