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ユニクロ柳井社長の非情さ、なぜ真っ当?事業の“ご臨終”=撤退基準明確化の重要性

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ユニクロの店舗(「Wikipedia」より/Tokumeigakarinoaoshima)
 筆者の母校・京都大学から、初のプロ野球選手が誕生した。千葉ロッテマリーンズから2位指名を受けた田中英祐投手だ。10月24日付日本経済新聞によれば、ロッテの林信平球団本部長から挨拶を受けたというが、その会談は15分の予定を大幅にオーバーし50分に及んだという。その時の田中投手の質問が「寮生活」「食事」など多岐にわたったからだというが、その中で感心した質問が「セカンドキャリア」に関する質問だ。

 入団前から「引退後の話題」を取り上げているのだが、なかなか日本人のメンタリティでは理解できないかもしれない。筆者は大学院修了後に外資系コンサルティング会社に入社したのだが、内定式や入社式で今後のキャリアについてパートナー(共同経営者)に質問し、同期のコンサルタントと展望を語り合った。パートナーには、「社内の仕組みで、何年くらいでパートナーになることができるのか?」「それをスキップして、もっと早くパートナーのポジションになれないか?」「あなたは、あと何年この会社にとどまるつもりなのか? 次のキャリアの展望は?」などということを聞いた。

 特に最後の質問は、一見失礼に見えるかもしれない。しかし、日本企業でいう定年まで勤め上げるパートナーなど、外資系コンサルティング会社では東京事務所のみならず世界を見渡してもほとんど存在しない。99.9%の外資系コンサルタントは、次のキャリアへ進む。60歳の定年まで現役でいるプロ野球選手がいないのと同じである。

 多くのモノには「始まり」と「終わり」がある。動物は生を受けそれを全うし、その後、死を迎える。家電製品や自動車も完成後、ディーラーで消費者に購入されその一生を開始し、いずれその役割を全うする。プロ野球選手も球団に入団して活躍後、どこかのタイミングで引退する。

 人間は死を迎える前に、家族や周囲のことを考え、遺言書を書く。財産配分を考える。もちろん直前にそれらの意思決定をする人もいるが、まだ元気なうちから財産配分や財産維持・拡大の戦略を考える人も多い。家電製品もしかりで、壊れてから「次、何を買おうかなぁ?」と考える人もいるが、新製品の大幅な機能改善を睨みながら「次はこのタイミングで買い替えよう」と考える人もいる。だから、プロ野球選手が入団前から「引退後」を考えることは、なんら不思議なことではないのである。

●新規事業立ち上げに不可欠な、撤退基準の明確化


 同じことは企業の新規事業立ち上げにもいえる。筆者はかつて外資系戦略コンサルタントだった頃、多くの新規事業立ち上げを行ってきたが、日本企業で立ち上げ時に「ご臨終」の姿、すなわち撤退基準を策定する企業は少なかった。製品やサービスの上市のためには、戦略立案担当者と製品開発担当者がタッグを組み、経営陣と相見えながら議論を重ねることになる。そこには上市のための基準、例えば、想定売り上げをいつまでに確保できるのか、生産拡大により利益率がどのように推移するのかなど、さまざまな基準が設定されている。