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格付け会社のデタラメな実態 不正疑惑で調査、破綻寸前企業に高格付け、市場で影響力小

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ムーディーズ・ジャパンが入居する愛宕グリーンヒルズ(「Wikipedia」より/110kuwahara)
 2008年の金融危機直前に格付けで不正を行ったとして、米司法省が格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスを調査していることが今月明らかとなった。そもそも格付け会社の格付けの信憑性とは、どの程度のものなのだろうか。

 昨年12月1日、ムーディーズが日本国債の格付けを従来の「Aa3」から「A1」に1段階引き下げた際、同社アナリストは「消費税の増税延期が重要なポイント」と、その理由を説明した。そのため、例えば1月7日付当サイト記事『ムーディーズの日本国債格下げ、財務省謀略説広がる 消費再増税のための売国行為か』は、同社が財務省の言いなりだとする見方を示している。さすがにそこまで格付け会社が財務省の走狗になっているとは信じたくないが、そうした噂が出るだけでも、格付け会社があまり信用されていないという証しだろう。

 実は実際のマーケットでは、格付けはそれほど大きな影響を持たない。国債の信用度という点でみれば、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のレートのほうが多くの市場参加者が身銭を切って取引した結果なので、格付け会社の情報よりも重要視されている。ムーディーズが日本国債を格下げした後にCDSレートは0.2%ほど低下し、日本国債の信用度はアップした。つまり、市場の見方はムーディーズとは逆になったのだ。

 筆者は、格付け会社のデタラメを実際に体験したこともある。かつて旧大蔵省(現財務省)国債課に勤務していた時、資金調達が順調だったので国債発行を休んだことがある。それにもかかわらず、スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズが国債格付けしたので、筆者は抗議をしたことがある。その後、アメリカ本社から幹部が来日して謝罪があった。その時、ついでなので格付け会社がどのように格付けを行っているかを聞いてみたら、その回答にとてもびっくりした。

 予算書などはまったく読まずに、大雑把な概括的な数字だけで格付けしていたのだ。これは、財務諸表を見ないで周辺情報だけで会社の信用度を判断しているに等しいので、大いに呆れたわけだ。いってみれば、格付け会社の情報は、マスコミが客観的な指標に基づかないで定性的に話すレベルと大差なかった。

 08年の金融危機前後でも、格付け会社の情けなさは世間一般に知れた。破綻寸前だったエンロンやワールドコムに投資適格の格付けがされていたり、サブプライムローンなどによる証券化商品に高い格付けがなされていた。結局こうした金融商品がリーマン・ショックの引き金となったのだが、格付けの信頼性はその程度なのである。

●客観性を欠く格付けの基準


 格付けの方法については、客観的な基準を欠いているという指摘は従来からある。例えば、02年には日本国債を格下げされたことに対し、財務省は客観的な根拠がないとして、海外の格付け会社宛に「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」「国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている」「各国間の格付けの整合性に疑問」という意見書を送っている。