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徳岡晃一郎「世代を超えたイノベーションのために」(3月12日)

こんな人は40歳で失速する 20代で蓄えた知識や経験を陳腐化させる30代の過ごし方

文=徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院教授
こんな人は40歳で失速する 20代で蓄えた知識や経験を陳腐化させる30代の過ごし方の画像1「Thinkstock」より

 2014年11月22日付当サイト記事『人生を豊かにし、富裕層入りするためのキャリアモデル 日常生活に組み込むべきプロセス』および15年2月5日付記事『深夜残業でがむしゃらに働く美学、無意味な自己陶酔?小さな仕事でやりがい感じる、の罠』において、知を創造する(イノベーションを起こす)基本的なプロセスである知識創造理論のSECI(セキ)モデルを紹介し、ビジネスパーソンキャリア形成に当てはめた「SECIキャリア」モデルを解説した。大切なのは、知識創造型人生を歩み、知識創造企業づくりに貢献するキャリアを形成することである。

 その第一段階として「Socialization」(暗黙知を吸収するフェーズ)、主として20代の暗黙知の蓄え方を述べた。今回は第二段階の「Externalization」(暗黙知を形式知に転換するフェーズ)、つまりSECIモデルのEのキャリア形成について考えてみたい。

 暗黙知の形式知への転換が特に重要になってくるのが30代だ。現場で下積みを重ねる20代はすべてが新鮮で、そのエッセンスを吸収して暗黙知をたっぷりと蓄える。そして、その後に訪れる30代は、気力・体力・知力の三拍子が揃った怖いもの知らずの時期だ。

 古い秩序を壊し、新しいことに挑戦し、新しい伝統を築く。そんな気概に燃える時期でもある。いわば、ビジネスパーソンの黄金期といえるだろう。一般的には課長などの役職に就く前なので数字的な責任を負うこともなく、オフも充実させやすい。

 そんな、キャリアの絶頂期である30代は、なんのためにあるのだろうか。20代の時の暗黙知の蓄積があれば自信を持って動けるのは確かだが、本当にそれだけでいいのだろうか。

 そこで、知のスパイラルアップという視点を持つ必要がある。漫然と暗黙知を溜めこみ、それを土台に新しいことに挑戦するだけでは、「自分の知」が定着しているかどうかはわからない。一度、暗黙知を形式知化して自分の血肉とするためには、自分の中の暗黙知について「いったいなんだったのか」と振り返ることが必要である。そうすることによって初めて自分を客観的に見直し、仕事を再定義するチャンスに恵まれ、知の質を高めることでステップアップできるのだ。

暗黙知を形式知化するEのキャリア

 例えば、人事の仕事を考えてみよう。20代でがむしゃらにがんばり、さまざまなコツ(暗黙知)を身につけて現場から頼られるようになる。本人としてもうれしく、やりがいもある。しかし、現状の仕事にどれだけ精通しても新たな人事のコンセプトは生まれないし、経営陣に新しい戦略を提言することもできない。ただ単に現場通の人事労務担当者になっていくだろう。

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

ライフシフトCEO
多摩大学大学院教授、研究科長、フライシュマンヒラード・ジャパン シニア・ヴァイス・プレジデント、多摩大学社会的投資研究所所長

1957年生まれ。東京大学教養学部卒業。オックスフォード大学経営学修士。日産自動車人事部、欧州日産を経て、99年フライシュマン・ヒラード・ジャパンに入社。人事およびコミュニケーション、企業文化、リーダーシップなどに関するコンサルティング・研修に従事。2014年より多摩大学大学院研究科長、2017年ライフシフトを設立、CEOに就任。主な著書に『MBB:「思い」のマネジメント』(共著、東洋経済新報社)『未来を構想し、現実を変えていく イノベーターシップ』(東洋経済新報社)、『人事異動』(新潮社)、『ミドルの対話型勉強法』(ダイヤモンド社)、『人工知能Xビッグデータが「人事」を変える』(共著、朝日新聞出版社)、『しがらみ経営』(共著、日本経済新聞出版社)など他多数。
株式会社ライフシフト

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