名選手がそのまま名監督になれるわけではないように、社員として優秀だった人が、上司としても優秀だとは限りません。実は「優秀な人」ほど、上司として結果が出せないばかりか、部下を成長させられず、挙句彼らに嫌われて職場の雰囲気まで悪くしてしまう人が多いのです。
では、このタイプの「ダメ上司」になりがちな人には、どんな共通点があるのでしょうか? 『任せきりでも10億円!週休5日社長の 任せる力』(真藤昌瑳煕/著、すばる舎/刊)から、彼らの考え方の特徴を紹介します。
■「自分がいないと仕事が回らない」
仕事がデキる優秀な人ほど、「自分がいないと仕事が回らない」と考えがちです。これは責任感と、「周囲に認めてもらいたい」という承認欲求からくるもの。いちプレイヤーならそれもプラスにはたらくことがあるのでしょうが、上司としてチームの仕事をマネジメントする立場ともなると、話は別です。
どんなに優秀でもチーム全部の仕事を抱え込むことなどできませんし、たとえ一時的にできたところでそれをずっと続けるのは不可能でしょう。となると、どこかで仕事を手放して、部下に任せなければいけません。
「自分がいないと仕事が回らないから忙しいよ」と周囲にこぼしている人は、そんな状況を作り出しているのは、部下に仕事を渡さない自分自身だということに気づくべきです。
■「自分でやったほうが早いし、確実」
こう思っている上司は、基本的に部下を信用していません。優秀だった人ほど、部下に自分の仕事と同レベルのクオリティを求めてしまい、部下に「そうじゃないよ」「それじゃダメだ」とあれこれ口出ししてしまいます。
挙句の果てには「自分でやってしまおう」と、部下から仕事を取り上げてしまうことも。これでは、部下が育つはずもありませんよね?
■「忙しく働くことは美徳」
これは日本の企業全体にいえることですが、「朝から晩まで忙しく働くことは美徳」とする価値観はまだまだ根強く残っています。
この価値観を持つ上司は、部下よりも早く出社して、部下が帰っても一人残業するというようなスタイルになりがち。やなり、仕事を上司が抱え込むということになってしまいます。
部下の実力を伸ばさないことには、チームの成績も上がりません。「忙しさこそ美徳」という価値観は捨てて、自分の仕事まで部下に任せるくらいの方が、部下の成長にはいいのです。