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経営危機マック、経営陣は巨額報酬 社員はリストラや給与引き下げ、店舗閉鎖でFC店苦境

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1月7日、日本マクドナルドホールディングス記者会見の模様(撮影=山本宏樹)
 4月16日、日本マクドナルドホールディングスは2015年12月期の営業損益が250億円の赤字、最終損益が380億円の赤字になる見通しだと発表した。前期の営業赤字67億円、最終赤字218億円から一段と収益が悪化する。具体的な客離れ対策も提示されず、経営陣は迷走を続けているかのようにみえる。

「我々は過去の経験から、いま資金を投じれば顧客の信頼を回復できると確信している」。サラ・カサノバ社長兼CEOは16日の記者会見でこう述べ、今期に一時的な投資および費用として255億円を計上すると発表した。この一時的費用のうち126億円は全国のフランチャイズ(FC)店に対する財政支援だ。具体的には、マクドナルド本部に納めるロイヤルティーの減免や支払い猶予の緊急措置である。売り上げが前年同月比で平均30%も落ちれば、FC店の経営は危機的状況になる。既存店の閉鎖や社員の早期退職に関連した損失も見込むが、「緊急措置の効果は、最大で年間数十億円。収益の押し上げ効果は小さい」とアナリストは見ている。

 売り上げ回復に向けては、今後4年間で2000店舗を改装してセットメニューの改良を進めるが、決め手に欠ける。「15年10~12月期以降、既存店売り上げがプラスに転じる」とのシナリオを立てているが、マクドナルドを取り巻く環境は厳しさを増すばかりだ。

 実は原田泳幸・前会長の時代から、すでに集客力に陰りが出ていた。コンビニエンスストアや外食各社との競争が激化する以前から、マクドナルドは構造的な問題を抱えていたのだ。この点について、現経営陣がどのような総括をしているのかが見えてこない。アナリストの多くは「既存店(売り上げ)をどう回復させるかについて、説明は不十分」と指摘する。何より、食の安心・安全に向けた新たな信頼回復策が示されなかったことに、消費者だけでなく投資家は失望している。

経営陣は巨額報酬


 マクドナルドは、まさに危機的状況にあるにもかかわらず、経営陣は高額の報酬を得ている。当事者意識を欠く経営陣の対応に「モラルハザード(倫理観の欠如)」との厳しい声が上がる。3月末に退職した原田氏は、退職慰労金と合わせて3億3900万円を手にする。カサノバ社長の14年度の報酬は1億700万円である。

 経営悪化のしわ寄せはFC店のオーナーや一般社員、アルバイトに及ぶ。100人規模の早期退職募集に加え、正社員の給与体系も4月から見直す。現行の業績連動型給与で、4段階評価のうち、3~4番目の評価の従業員は給与を下げる。店舗ごとの実績を、より反映させた給与体系にする。アルバイトに最もしわ寄せがくる。競合他社の店長によると、「マクドナルドは、売り上げの落ちた店では、人件費を削るためにアルバイトの勤務時間を減らしている」という。

 社員・アルバイトの苦境をよそに、経営陣は億単位の高額報酬を受け取っている。マクドナルドの危機の元凶は「経営陣にオーナーシップ(当事者意識)がないこと」(アナリスト)に尽きる。