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“ハケン頼み”の職場がハケン切りすぎ崩壊寸前…高いスキルの社員ほど仕事がない!

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「Thinkstock」より
 労働者派遣法改正案が成立する見通しになった。政府はこの改正で多様な働き方を広げようとするが、逆に不安定雇用が広がるのではないかとも見られている。

 特に深刻なのは、通訳や秘書、事務機器操作、通信技術者など26の「専門業務」だ。高いスキルが求められる専門業務は、これまでは「特定派遣」のかたちをとり、派遣先企業が派遣労働者を受け入れる期間については無期限であり、(届出制の)派遣元会社に正社員として雇用されていた。「一般派遣」よりも高いスキルが評価され報酬も高かった。

 しかし、今回の改正で特定派遣は廃止され、すべて一般派遣になる。その際、特定派遣会社は資本金要件など制約の大きい許可制への移行が求められることになる。特定派遣会社は中小企業が多く、この移行についていけないケースが予想され、現行の一般派遣業務を行っている大会社の寡占状態が加速しかねないのだ。

 つまり、今後は特定派遣の高スキル派遣社員は高い報酬が嫌われ、一般派遣の派遣社員への差し替えが進みかねない……いや、すでに差し替えが進んでいるのだ。

「まさか私が雇い止めに遭うなんて」と憤るのは、通信技術者として大企業に派遣されているAさん。これまでは3カ月ごとの派遣契約を更新して派遣元会社より特定派遣されてきたが、この6月での契約終了が通告されたのだ。Aさんの働く部署は通信技術系のスキルが要求されるが、派遣社員がほとんどを占めている。それが、ここにきて次々に特定派遣から一般派遣へ労働者の切り替えが進んでいるのだ。

 労働者派遣法改正案は、これまで2回廃案になっているが、すでに大企業では改正後に向けた雇い止めが進められていたわけだ。大企業にとっては、報酬の高い特定派遣から安い一般派遣へ労働者を切り替えてコストが削減できるというメリットがある。一方、特定派遣社員は高いスキルがあるにもかかわらず職にあぶれ、正社員として雇用されている派遣元会社が傾いていくのを見ていることしかできないのだ。

派遣社員に仕事を丸投げするプロパー

 さらに、派遣先の部署でも深刻な影響が出かねない。実はAさんの働く部署は、いわばクレーム対応部署。通信技術系のスキルが要求されるうえに顧客対応も求められる“やっかいな”部署。

「正社員にとっては“吹きだまり”部署とも揶揄され、人事異動で配置されるのはスキルがない素人で、対応が面倒だからとクレームを派遣社員に押し付けます。現在はスキルがある特定派遣社員が中心となって対応していますが、今後切り替えられた一般派遣社員がクレームに十分に対応できず、トラブルが悪化することは目に見えています。私の代わりということで入った数人の一般派遣社員も、すでにまったく『使い物にならない』という烙印が社内で押されています」(Aさん)