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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

セブン、なぜローソンとファミマを圧倒?必ず鈴木会長が試食するワケ 「いい加減」排除

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授
セブン、なぜローソンとファミマを圧倒?必ず鈴木会長が試食するワケ 「いい加減」排除の画像1セブン-イレブンの店舗(「Wikipedia」より/Magnus Manske)

 どのコンビニエンスストアでもオリジナルのドーナツが売り出されるようになり、まさにドーナツ戦争といえる状態です。しかし、みなさんは商品だけを見て、どれがどこのドーナツか区別できるでしょうか?

 どのドーナツも、恐ろしいほどに同質化しており、その源は確実にミスタードーナツにあります。「オールドファッション」のような一般的な商品はともかく、「ポン・デ・リング」などはミスドの商品開発の賜物ですから、類似商品の開発は遠慮してあげてもいいと思いますが、生き馬の目を抜くビジネスの世界では、そんな悠長なことはいっていられないのでしょう。

 このドーナツ戦争に火をつけたのは、セブン-イレブンです。セブンの後を追うように、他のコンビニも続々とドーナツ販売に参入しました。こうした状況を見ると、セブンおよびセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の存在のすごさをあらためて感じる次第です。

リーダー企業の戦略「まねをする」

 一般的に、リーダー企業は保守的な戦略を採用しがちです。なぜなら、業界2~3位のチャレンジャー企業やフォロワー企業などより、先行するメリットが少ないからです。

セブン、なぜローソンとファミマを圧倒?必ず鈴木会長が試食するワケ 「いい加減」排除の画像2『「高く売る」戦略』(大崎孝徳/同文舘出版)

 家電業界では、かつてパナソニック(旧松下電器産業)がソニーの戦略の後を追い、「マネシタ電器」と揶揄されました。自動車でも、アメリカでの現地生産、高級ブランドの立ち上げなど、トヨタはホンダを追随していました。

 このように、リーダー企業が先行することが少ないのは、なぜでしょうか?

 スケールメリットとも呼ばれる規模の経済は通常、売上高の最も大きなリーダー企業に有利に作用します。そのため、チャレンジャー企業やフォロワー企業がリーダー企業と同質の競争を行っても、勝つのは難しくなります。

 その結果、チャレンジャー企業はリーダー企業との差別化を狙い、積極的に新たな取り組みに挑戦していきます。通常、リーダー企業はより豊富な資金や人材、研究開発、生産、営業体制を持っているため、先行されても後から挽回可能であり、リスクの高い新規事業に打って出るメリットは小さいのです。

 また、他社の新規事業は、リーダー企業にとって、お金のかからない上にきわめてリアルなマーケティングリサーチになるという捉え方もできます。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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