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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

「半導体製造が苦手な」中国企業、日米技術者を一気に獲得の荒技

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大型M&Aが続く半導体業界


 今年、半導体業界では大型のM&A(合併&買収)が相次いでいる。1月に独インフィニオン・テクノロジーズが、米インターナショナル・レクティファイヤー買収を発表。3月には蘭NXP セミコンダクターズが、米フリースケール・セミコンダクタを買収すると発表。5月に米アバゴ・テクノロジーが、370億米ドル(約4兆6000億円)で米ブロードコムを買収すると発表。6月には米インテルが、167億米ドル(約2兆円)で米アルテラを買収すると発表。そして7月14日に中国の紫光集団が、米マイクロン・テクノロジーに230億米ドル(約2兆8400億円)の買収を提案していることが明らかになった。

 半導体業界でこれほど大型M&Aが頻発するのは、筆者にも記憶がない。そこで今回は、これらの大型M&Aにはどんな背景や事情があるのかをみていきたい。ちなみに上記M&Aの中で、紫光によるマイクロン買収提案だけは他と事情が異なるが、それについても解説したい。
 

大型M&Aの背景


 6月15~19日、京都で開催された半導体の国際学会VLSIシンポジウムに参加した際、世界半導体産業について3つの動向を感じ取った。紫光以外のM&Aはこの流れの中で起きたと見ることができる。

 その3つの動向は、以下の通りである。

(1)IoT(Internet of Things:モノとインターネットの融合)とビッグデータが牽引して、世界半導体市場は今後も成長する。
(2)現在の微細化の最先端は14nmだが、7~5nmまでは確実に続く。しかし、設計や製造コストが急騰する。
(3)自動運転化が進む自動車が、IoTデバイスになりつつある。

 こうした流れの中で、大型M&Aについて次のように解釈できる。

 インフィニオンによるレクティファイアー買収は、自動車などに使われるパワー半導体で世界シェアトップになることが目的である。この買収によりインフィニオンは、シリコンだけでなく、SiCやGaNなどの新材料を用いたパワー半導体でも優位に立つ。

 NXPによるフリースケールの買収は、IoTデバイス化が進む自動車用マイコンが狙いである。この買収により、車載半導体においてはNXP+フリースケール連合が、日本のルネサス エレクトロニクスを抜いて世界シェアトップになる。

 アバゴによるブロードコムの買収は、英ARM社が2025年には1000億個を超えると予想しているネット接続デバイスの通信半導体制覇を目論んでいると思われる。