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ファブレスは少人数で勝負できる一方、半導体製造には百人規模のプロセス技術者が必要となる。中国人は個人プレーで能力を発揮できる半導体設計には向いているが、百人規模のチームワークが必要な半導体製造には向いていないのではないかと考えられる。
なぜ紫光はマイクロン買収を提案したか
14年6月、中国国家主席の習近平氏は、半導体新興を目指す「国家IC産業発展推進ガイドライン」を制定した。15年の国内半導体売上高を13年比で4割増大させ、さらに30年までに世界トップクラスの半導体企業を複数育成することを国家目標として掲げた。その上、新たに2兆円規模の「国家産業投資基金」を設立し、半導体分野に投資するとしている。
この狙いは2つある。ひとつ目は、たった12.8%しかない自給率を大幅に向上させることである。外資に依存した半導体の調達を内製化したいということだ。2つ目は、サイバー攻撃への対策である。サーバーに日本や米国の半導体を使っている限り、情報漏洩のリスクがあると警戒している。
ところが前述のとおり、中国は「半導体の設計は得意だが、製造は苦手」である。そこで、紫光が技術者込みでマイクロンを買収してしまおうという荒技に出たわけだ。マイクロンはエルピーダを買収したメモリメーカーである。この買収が成功すれば、日米の技術者を手に入れることができる。すると、「製造が苦手」という弱点を一挙に解決することができ、半導体の自給率を大幅に向上できる。
ただし問題は、米議会がこの買収に猛反対していることである。マイクロンのメモリ技術は、ミサイルや軍用機にも応用できる可能性がある。そのような技術を、米国が簡単に手放すとは思えない。この買収提案の行方はどうなるのか。今後の成り行きが注目される。
(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)
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