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スズキの敗北 4千億円の「損」と致命的「空白」 修会長の孤独な戦い続く

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スズキの鈴木修会長
 スズキが4年にわたって求めてきた独フォルクスワーゲン(VW)との資本・業務提携の解消が、ようやく実現する――。

 スズキは8月30日、筆頭株主のVWが保有する19.9%分の自社株をすべて買い戻すと発表した。29日、英ロンドンの国際仲裁裁判所が両社に通知した内容は「包括提携の解除を認める」「VWが保有するスズキ株式の売却を命じる」「VWが主張していたスズキの技術関連の契約違反について一部認め、損害の有無や額について引き続き仲裁で審議する」の3つである。

 スズキは2009年にVWとの資本・業務提携を発表したが、VWがスズキを子会社と見なしたことや、スズキが期待するような技術がVWから供与されないことから溝が深まり、11年9月にスズキが提携解消を申し入れた。同年11月から国際仲裁裁判所での係争が続いていた。

 資本提携の解消、自社株の買い戻しが認められた点ではスズキの勝訴だが、名を捨てて実をとったのはVWのほうだ。8月28日の東京市場でのスズキ株の終値は1株4151円50銭。この株価を基準に算出すると、スズキの買い取り価格は約4600億円になる。株価次第では増加する可能性が高い。買い戻し額は5000億円規模との報道もある。VWは約2200億円でスズキ株を取得しているため、売却すれば買い値を上回る売却益を得ることになる。

 加えて、国際仲裁裁判所はスズキの契約違反を認定した。VWはスズキに対して「損害賠償を請求する権利を留保する」との声明を発表した。損害賠償額がどの程度になるのかはこれからの審議を待たなければならないが、VWはスズキから多額の賠償金を受け取る可能性もある。VWとスズキの資本提携の収支決算は、VW側の大幅な黒字である。

高い授業料


 逆に、スズキにとっては大幅な赤字だ。

 スズキはVWがスズキ株式を取得した金額の2分の1を限度にVW株を取得した。現在、スズキは1.5%分のVW株を保有する。時価が約1000億円のVW株式を売却して、自社株買いの原資とする。買い戻しに備えて銀行から資金を借り入れるなど準備を重ねてきた。