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ジリ貧の水産業、知られざる「やっかいな」問題 効率化&IT化「できなかった」事情

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「魚ポチ HP」より
 株式会社フーディソン(foodison)は、水産流通プラットフォームを開発するIT企業である。「魚ポチ(うおぽち)」という飲食店向けの鮮魚仕入れサービスや、「sakana bacca(サカナバッカ)」という個人向けの鮮魚店を運営している。地方漁協と協力した地魚を取り扱うなど、水産業界全体の活性化を目指す同社は、今年8月には5億円の資金調達を実施し、システムエンジニアの採用を強化しているという。

 さらなるプラットフォーム強化を目指しつつ、水産業特有の課題を解決するfoodisonの取り組みとはいかなるものか。

止まらない水産市場の縮小

「日本は水産資源大国なのに、水産市場の規模が縮小し続けている」といったニュースを目にしたのは、一度や二度ではない。水産庁作成の2014年度版水産白書からも、規模縮小が読み取れる。魚介類の国内消費量は、09年度に692万トンであったのに対し13年度は622万トン。また、魚介類の国民1人当たり年間消費量は、09年度が30kgであるのに対して13年度には27kgに減少している。当然、政府も黙ってみているわけではなく、14年度には約50億円の予算を投じて水産業活性化の取り組みを行っているが、市場規模拡大には至っていないのが現状だ。

IT効率化を妨げる水産業界特有の2つの課題

 foodisonのプラットフォーム開発を束ねるCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の石井健三氏は、「水産業特有の課題が原因でITによる効率化が遅れ、市場活性化が加速できない」と指摘する。その課題は2つある。ひとつは、地域ごとに魚の名称が異なり、『魚名称マスター』をつくりにくいこと。もうひとつは、販売当日にどのくらいの魚が流通するか予測できないことである。

・課題1:地域ごとに魚の名称が異なり、「魚名称マスター」をつくりにくい

「例えば、長崎では『アオナ』と呼ばれる魚があります。これが東京だと『アオハタ』と呼ばれています」(石井氏)

 年金システムと同じような名寄せシステムをつくって、どちらかの名称をマスターにすると同時に、別名称をシステムから呼び出せるようにすればよいだけのはずだ。しかし、主となる名称が地域ごとに異なると話は別。データベースには、主となる名称マスターと、地域ごとの名称マスターの2つをつくらなければならない。したがって、どちらの名称が主になるか決めなければならず、そもそも別名が何かを知っている人が必要になる。そのためシステムの共通化が進まず、地方ごとに独立したシステムがつくられることになる。