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回転寿司、なぜ正確なネタ表示がされない?透ける消費者庁ガイドラインの難しさ

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回転寿司、なぜ正確なネタ表示がされない?透ける消費者庁ガイドラインの難しさの画像1「Thinkstock」より
 昨年、レストランなどで相次ぎ露呈して話題となった食材の虚偽表示問題や外食産業の不適正表示を受け、12月に消費者庁が「適正表示のガイドライン案」を公表し、ネットをはじめとした各メディアで議論が白熱している。

 例えば「サーモントラウト(ニジマス)」を「サーモン」、「ロブスター」を「伊勢えび」と表示することを問題視しているが、外食業界は「サーモンは、すでに市場に浸透している」と反発し、一方、消費者団体は「正確な名称を表示することが食の安全、安心につながる」として規制を支持している。

 今回、この問題につき、大きな影響を受けるであろう回転寿司業界の実情に迫ってみた。

●寿司ネタは代用魚がいっぱい

 某大手回転寿司チェーンの社員は、次のように、今回のガイドライン案に対し否定的な見方を示す。

「すべての食材を正確に表示したら、かえって消費者が混乱するケースもあると思います。例えば、サーモンをニジマスと表記しても、イメージがわきづらく、注文しなくなるんじゃないでしょうか。実際、鮭は寿司ネタに使われることはないので、サーモンを鮭と勘違いする人は少なくなっていると思います」

 また、同氏は、寿司店ではネタが正確に表示されないことも多いと明かす。

「季節や店によっても違いますが、寿司ネタは正確な表示をしていないことがかなりあります。黒マグロと表記されている大トロや中トロは、ガストロという魚で代用されていることがあります。鯛はテラピア、ブリはイボダイ、ネギトロなどに使われるトロにはアカマンボウを使用している店もあります。ほかにも、イワシやカンパチ、ハマチなど、挙げればきりがないほど、代用魚は流入しています」

 このように、あまりにも代用される魚が多く、それを正確な表示にすると、消費者はまったく味の想像ができなくなってしまう可能性があると懸念する。加えて代用魚をやめた場合の悪影響について、次のように語る。

「代用魚の名前を出せば、拒絶反応を示す客が必ず出てきます。それを防ぐためには、本来の魚を使わなければならなくなりますが、そうすると現在の価格を維持するのは困難です。安くおいしいものを提供するためには、代用魚の存在は欠かせません。また、季節によって入手が困難な魚を、味や見た目が似ている魚で代用することは、お客様のニーズに応えるためにも必要なんです。これは偽装ではなく、あくまでも“代用”です」

 激しい低価格競争を続ける回転寿司の業界にあっては、代用魚の存在は欠かせないものらしい。そして、イメージが重要な外食産業で、聞いたこともない不気味な名前の魚を掲げるのは厳しいだろう。
 
 前出のガイドラインでは、「生クリーム」は生乳を原料とし、植物性の油を認めない方向にあり、また加工肉をステーキと表示することを問題としている。ほかにも、既製品のジュースを「フレッシュジュース」と表記する場合、しぼりたてと誤認させるような記述があれば問題とするなど、決してホテルやレストランなどの外食産業だけではなく、身近にある食材にも不正確な表示が潜んでいることを浮き彫りにしている。

 消費者庁は、各所から意見を聞き、それらを踏まえた上で正式に決定するとしているが、正確=適正とも言い切れず、各業界の駆け引きがますます熱くなりそうだ。
(文=マサミヤ)

BusinessJournal編集部

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