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精神病の5割が誤診?誤った薬服用で治りにくく 画期的診断補助機器、なぜ広まらない?

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「Thinkstock」より
 2006年に「光トポグラフィー(光トポ)」を導入し、診断補助として使っている精神科医が、筆者の取材を受け、次のように吐露しました。

「私は、自身が光トポ導入前に行ってきた診断を再チェックしました。すると約50%誤診していました。導入後、誤診はほとんどありません」

 精神科ではうつ病、双極性障害(そううつ病)などの精神疾患の誤診が多く、の間違った処方と、その服用などが大きな問題となっています。誤診されていれば薬が違うのは当然。その薬で改善しないとなれば、さらに薬をプラスすることになります。間違った薬が投与され続けるので、患者さんはどんどん治りにくい状態へと進んでしまう。

 そこに改善の道筋を見せてくれたのが、光トポ検査なのです。

 その光トポ検査とは、どのようなことをするのでしょう――。

 光トポは医療用検査機器です。近赤外線を利用して、頭皮から20mmほどの深さの大脳皮質を流れる血液に含まれるヘモグロビンの量を測ります。何カ所ものポイントで計測し、刻々と変化する血流の状態を波形で表示。つまりはグラフです。そのグラフのかたちによって約80%の確率で健常者、うつ病、双極性障害、統合失調症などが判定できます。それぞれ特有のパターンを示すグラフになるからです。

 ただし、光トポがあれば問診は必要ないかというと、それは言いすぎです。この光トポ検査は、あくまでも診断補助。東京大学などの研究で、その正確度は「70~80%」との発表がなされています。医師の問診を補助することで、診断がより正しく行えるようになるのです。

 もちろん、精神科医の中には「私は95%以上正確に診断できます」と言い切る医師もいます。それは誰もが認める名医でしょう。しかし、今回取材を受けてくれた精神科医も、優秀ではあっても誤診が多かったことを認めているのです。だからこそ、光トポ検査が大事になります。

施設基準というハードル


 その光トポ検査は2009年から先進医療となり、14年から保険適用になりました。ところが、この検査を行える医療機関があまりに少ないのです。クリニックレベルではほとんどこの検査装置を導入している施設はありません。それは「光トポを行える施設基準が厳しいから」とクリニックの精神科医たちは指摘しています。

「精神科又は心療内科及び神経内科又は脳神経外科を標榜する保健医療機関である」
「当該療法に習熟した医師の指導の下に、当該療法を5例以上実施した経験を有する常勤の精神保健指定医が2名以上勤務している」
「神経内科又は脳神経外科において、常勤の医師が配置されている」

 これらのほかに5項目があり、かなり高いハードルになってます。保険適用なのだから、もう少し患者さんが身近で受けられるようにすべきではないでしょうか。誤診で苦しんでいる精神疾患の患者さん、そしてご家族のために――。
(文=松井宏夫/医学ジャーナリスト)