トンデモ中間搾取横行の派遣業界!不安定&低賃金労働者の量産を推進
12年改訂で生まれた「労働契約申し込みみなし制」という規定は、派遣業界で横行する違法行為(禁止業務への派遣・無許可無届業者からの派遣受け入れ・派遣可能期間超えの派遣受け入れ・偽装請負など)があった場合は、派遣先企業は派遣労働者を直接雇用することを申し込んだとみなす――という派遣労働者にとって大変よい規定でした。
しかし、その実施期間が3年間も据え置かれた挙げ句の15年10月1日からだったために、与党自民党は焦りまくったのでした。
なにしろ、この規定を潰すため前国会にも提出していたこの改訂法案は、条文ミスで廃案になっていたため、今国会で通しておかないと多くの派遣先企業が直接雇用しなければならなくなったり、派遣元企業は今後中間搾取ができなくなってしまうからでした。
そんなことになったら、自民党はこれら企業から多額の政治献金をもらっているのに、多くの企業を裏切ることになってエライことにもなるわけです。政治献金(賄賂)の見返りが果たせないのでは、今後の政治献金の多寡にも影響してしまいます。
幸いなことに、自民党と公明党のほかに、維新の党が土壇場で自民党に協力してくれたおかげで、この労働者派遣法の改悪は9月11日にめでたく成立し、たった3週間後の9月30日からの施行と相成ったのでした。
これで、10月1日から実施される予定だった違法派遣の「直接雇用」を、派遣先企業も逃れることができ、派遣元企業も今後の中間搾取を続けることができるわけで「メデタシメデタシ」となったのでした。やはり、企業は与党に対して「政治献金」を欠かしてはいけないわけです。
狙いは違法派遣を合法化する改悪
今回の改悪のポイントをざっと説明しておきますと、次のような変更点が挙げられます。
(1)派遣期間規制の見直し
これまで専門業務とされた26業務は期間制限なく派遣で働き続けられましたが、今後はそれを撤廃することにしました。また、旧規定では専門業務以外はひとつの業務で派遣期間が3年だった旧規定を改め、3年ごとに人を入れ替えれば派遣労働者を使い続けられるようになりました。
ゆえに、人さえ変えれば永遠に派遣先企業は派遣労働者を受け入れ続けることができ、派遣元企業は中間搾取を続けられるようになりました。これが「生涯派遣・永久派遣」の仕掛けです。